編集部のおすすめ
-
¥990
-
¥980 - ¥1,280
-
¥980
-
¥1,280
-
¥980
-
¥980 - ¥1,580
-
¥980 - ¥1,580
-
¥880 - ¥1,480
-
¥980 - ¥1,580
-
¥1,280
-
¥1,180 - ¥1,880
寒さに強く、冬に花を咲かせる「クリスマスローズ」。少しうつむいたような姿で、気品がある可愛らしい花を咲かせます。ここでは、そんなクリスマスローズの育て方を詳しくご紹介しています。また、庭や花壇への地植えだけではなく、鉢植えでの育て方についても、初心者の方でも分かりやすいよう詳細に解説します。
クリスマスローズは、アネモネやラナンキュラスと同じキンポウゲ科の多年草で、冬から春にかけて美しい花を咲かせます。主にヨーロッパやアジアに自生しており、特に地中海沿岸地域で見られます。名前に「ローズ」とありますが、バラとは異なり、花の形状がバラに似ていることからこの名が付けられました。生育適温は0~15℃と低く、耐寒性が非常に強いため-20℃でも耐えることができますが、暑さには弱い性質があります。
クリスマスローズには「無茎種」と「有茎種」と呼ばれる2種類のタイプと、その中間にあたる品種があります。一般的に流通しているクリスマスローズは「無茎種」で、茎が地面にほとんど現れずに花を咲かせるため葉と花が直接地面から出ているように見えるのが特徴です。一方、「有茎種」は茎が伸び、その先に花をつけます。
クリスマスローズは交配により多くの品種が生まれており、花の色は白やピンク、紫、緑など様々で、花の形もシングルやダブルといった様々なバリエーションの品種があります。原種で、繊細なピンク色の花が美しいヘレボルス・チベタヌスや、交配種のヘレボルス・オリエンタリスピコティ、白くて清楚な花を咲かせる原種のヘレボルス・ニゲル(有茎種)、中間種で葉も美しいヘレボルス・ステルニーといった品種があります。
ヘレボルス・ピコティやヘレボルス・ニゲルは育てやすいため、初心者にもおすすめの品種です。
様々な品種が存在するクリスマスローズですが、これらは元々自然界に存在する約20種類の原種から品種改良を行うことで生み出されてきました。原種は多様な品種を生み出す交配元としても重要で、園芸愛好家の間で重宝されています。原種は自然の持つ豊かな美しさを現代の園芸に引き継ぎ、今なお多くの人々を魅了し続けています。
クリスマスローズは日当たりを好む一方で、夏の直射日光が苦手な植物です。6月~9月は、鉢植えの場合は明るめの半日陰で、梅雨の長雨に当たらない場所に移動させましょう。地植えの場合は遮光する対策をすると、葉焼けを防ぐことができます。
クリスマスローズは風通しの良い環境を好むため、地植えで複数株植え付ける際には株間を十分に取るようにしましょう。これにより蒸れを防ぎ、病害虫の発生を抑える効果が期待できます。鉢植えでクリスマスローズを使用した寄せ植えの場合も、風通しには注意しましょう。特に湿度が高い梅雨時期や夏場は通気性の確保が重要です。
クリスマスローズの好む土は、排水性と保水性を兼ね備えた土です。多湿状態は根腐れの原因となるため土壌改良が必要です。
》土壌改良についてはこちら
クリスマスローズを栽培するうえで、地植えと鉢植えにはそれぞれ特徴とメリットがあります。
地植えの場合、庭や花壇に直接植えるため、根を広く深く伸ばすことができ、クリスマスローズの株自体がより安定して成長します。地植えは特に長期的な栽培に向いていて、冬の寒さにも比較的強く耐えることができるのが利点です。一方地植えの場合は土壌の質や日当たり、風通しなどの環境条件を鉢植えに比べて変え難いので、季節ごとの対策とお手入れが必要になります。
一方、鉢植えは移動が容易で、季節や天候に応じて鉢の置き場所を変更することができます。また、ある程度鉢内の土の環境も整えることが出来るので、初心者にも栽培管理がしやすいというメリットがあります。ただし、鉢のサイズが限られるため根の成長が制限されることがあり、2~3年に1度植え替えが必要になります。
クリスマスローズはポット苗として9月末ごろから出回ります。苗の選び方としては、葉や花に茶色や黒いシミ、斑点や縮れがなく、茎と株元が太くしっかりとしたものを選びましょう。
また苗の種類には「実生」と「メリクロン苗」の2種類があります。「実生」は種から育てられたものですが、交配も含め親株と同じ花色や形にならない場合があります。「メリクロン苗」の場合は、親株の成長点を培養したものなので、親株のクローンとなり、親株に近い形と色の花を咲かせることができます。
苗の大きさにも注意しましょう。5~6号ポットで販売されている3年生以上の中~大株は「今シーズンに花を咲かせる」可能性が高く、既に花が咲いているか花芽が上がっている苗になります。2~3号ポットの2年生株はまだ小さく、「翌シーズン以降に花を咲かせる」株になり、花が咲くのに1年以上かかる可能性があります。初心者の方や、すぐに庭や鉢を華やかにしたいという方は、少し大きめの開花予定の苗を購入すると安心です。
12月以降に、お店で開花予定の苗を購入した場合:1月~3月頃
購入したら出来るだけ早めに、鉢植えの場合は1~2周り大きいポットまたは鉢に植え付けましょう。
クリスマスローズは排水性と保水性を兼ね備えた土壌を好むため、土の団粒構造を作るのを促してくれる腐植資材リフカ※を地植えの土やプランターや鉢植えの培養土に混ぜ込むのがおすすめです。排水性を更に改善したい場合は、パーライトや軽石、硬質の赤玉土などを混ぜ込むと効果的です。
また、苦土石灰または土壌pHバランス材※を使用して土壌pHを調整しておくと良いでしょう。
肥料入り培養土を使用する場合はそのままでも問題ありませんが、使いまわしの土を利用する場合は元肥として緩効性の固形肥料や副資材を混ぜ込んでおきましょう。
※腐植資材リフカはピートモスが主原料ですが、pHを中性に矯正している資材なのでどんな土壌にも安心して使用できます。
①鉢底に鉢底ネットと鉢底石を敷いて、「土壌改良」で調整した土を入れます。植え付けるクリスマスローズの苗がすっぽり埋まるくらいの植穴を空けておきます。
②クリスマスローズの根を傷つけないようにポットから取り出し、根鉢をあまり崩さず、底の方と上部を少し崩して、植え付ける鉢に入れます。深植えしないよう注意して、植穴を埋めるように土を入れます。
③植え付け後は土全体がしっかりと水を含むよう、たっぷりと水を与えます。その後の管理は表面の土が乾いてから水やりをするようにします。
①「土壌改良」で土を調整して、植え付けたいクリスマスローズの苗がすっぽり埋まるくらいの植穴を空けておきます。
②クリスマスローズの根を傷つけないようにポットから取り出し、根鉢をあまり崩さず、底の方と上部を少し崩して、植穴に置きます。深植えしないよう注意して、植穴を埋めるように土を入れます。
③植え付け後はたっぷりと水を与えます。凍結を防ぐため、バークチップなどで株元をマルチングします。
水やりの頻度とポイント
クリスマスローズは過湿を嫌うため、過剰な水やりは根腐れの原因になるので注意が必要です。季節によって水やりの頻度が変わってきますので、以下を参考にしてみてください。
秋と春(10月~11月、3月~5月):
クリスマスローズの生育期で根の活動も活発な時期です。土の表面が乾いたのを確認した後、2~3日ほど待って、午前中にしっかりと水を与えましょう。
冬(12月~2月):
寒さに強いクリスマスローズですが、冬の時期は葉も枯れ落ち、活動時期に比べて水の吸収も減っていきます。土の表面が乾燥した後、2~3日ほど待って、午前中にしっかりと水を与えましょう。
夏(6月~9月):
夏はクリスマスローズが休眠している時期にあたり、根の活動が落ち、水の吸収する力も低下していきます。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥して葉が少し垂れ下がってきたのを確認したら、涼しい早朝の時間帯に水をしっかりと与えます。地植えの場合、水やりは自然の雨に任せることができます。しかし梅雨や秋の長雨の時期には花壇や庭の水はけが悪くならないようにしましょう。
クリスマスローズには、緩効性の固形肥料や液体肥料がおすすめです。
緩効性の固形肥料:
土に混ぜ込むことで1~2ヶ月程度、栄養を供給し続けるため、植え付け時や植え替え時に元肥として使用すると効果的です。特に、リン酸やカリが豊富なタイプを選ぶと、花付きが良くなります。
固形肥料は秋の活動時期の体力作りと花芽の形成を目的に与えます。また3月以降の新芽が動き出す時期に与えて、株の充実を図ります。12月以降の開花時期は株の活動が低下するので、代わりに液体肥料をうすめに与えると良いでしょう。
液体肥料:
液体肥料は、水に栄養素が溶けていて植物が根からすぐに吸収しやすい状態の肥料です。クリスマスローズが旺盛に成長する成長期に1~2週間に1回程度、通常の水やりに加えて与えましょう。ただし、過剰な肥料は逆効果となるため、ラベルに記載された推奨希釈率を守ることが大切です。
しっかり&じっくり育てる
活動時期(10月~11月、3月~5月):
緩効性の固形肥料:月に1回 株元から少し離して与えます。
液体肥料:1週間に1回
休眠時期(6月~9月):
夏の休眠期には基本的に肥料を控えます。
活動低下時期(開花時期)(12月~2月):
液体肥料:2週間に1回
クリスマスローズが肥料不足になると以下のような症状が出ます。いずれのケースも、根に異常が見られない場合は不足している成分を含んだ液体肥料を与えて、様子を見ましょう。
葉が全体的に黄色になる:
窒素成分が不足することで葉の緑色が薄く黄色くなります。
葉の縁・葉脈の間の色が薄い、または変色している:
カリウム、マグネシウム、または微量要素が不足している可能性があります。
クリスマスローズを鉢植えで栽培している場合、少なくとも2~3年に1回の頻度で植え替えが必要です。
春(3月~4月)
クリスマスローズの植え替えタイミングは、開花が終わりかけた春の3月~4月頃がおすすめです。この時期は冬の寒い期間を乗り越えて活動が活発になる時期なので、植え替えによる根のダメージも回復しやすく、根の環境が改善され、来期に向けて花芽を形成しやすくなります。
秋(10月~11月)
秋の10月~11月も植え替えは可能ですが、開花前のこの時期に植え替えると根の環境は改善できますが花芽が増えません。根鉢になりすぎて水はけが悪く、春の植え替えタイミングまで待てない場合に限り、この時期に植え替えをしても良いでしょう。
植え替えの際、株の土が少し乾いた状態だと土がほぐれやすいので、植え替えを行う日の数日前から水やりを控えて少し乾かしておきましょう。
植え替えの手順
①1~2回り大きな鉢を用意して、底に鉢底ネットと鉢底石を敷き、「土壌改良」で調整した土を用意します。鉢のサイズを大きくしたくない場合は、株の根を1/3~半分ほど切ることで同じサイズの鉢に植えることができます。
②クリスマスローズをポット又は鉢から取り出します。根鉢を軽く叩きながら古い土を落とします。根が詰まっている場合は、少しほぐしておきましょう。
③クリスマスローズを植穴に入れ、周囲に土を詰めていきます。この時、深植えして株の根元が土に埋もれないように注意しましょう。
④植え替え後はたっぷりと水を与えます。直射日光を避け、半日陰の場所に置きましょう。
植え替え直後は直射日光を避けて半日陰の場所で管理するようにしましょう。根がデリケートな状態になっているため過度な水やりを避け、土が乾燥し始めたら水を与えることを心がけましょう。水の与えすぎは根腐れの原因となりますので注意が必要です。また、植え替え直後の2週間ほどは肥料を与えるのを控えましょう。
クリスマスローズは剪定をすると株全体に十分な日光が届き、新しい葉や花芽に栄養が届き、花芽が立ちやすくなります。病気の予防にもつながるため重要なお手入れと作業です。植え付けて2年目のクリスマスローズを対象として剪定を行いましょう。剪定のタイミングは、開花する前の11月~12月が適しています。
①ハサミを用意し、カビや病気の感染を防ぐために消毒します。
②茶色く傷んでいる葉や枯れた葉と、去年の春にできた古い葉の一部を、株元から5~10㎝ほど残してカットします。株元近くで切りすぎると切り口より傷んでしまいカビなどで株が傷んでしまう可能性があります。株元付近で切りすぎないように注意しましょう。また秋にできた新しい葉は切らないよう残します。
※新しい葉は上部に縦に伸びている葉になります。古い葉は横方向に開いている傾向の葉になるので剪定の際の参考にしてみてください。
③剪定後は水やりをして、肥料を少量与えて様子を見ましょう。
子房取りは、クリスマスローズの種子形成を防ぎ、株のエネルギーを無駄に消費しないようにするための重要な作業です。2月から3月にかけて、花の中心にある子房が膨らんでくるので(種を採取する場合を除いて)手で子房を取り除いておきましょう。
①花の中心部にある子房を確認します。
②子房が膨らんできたら、指でつまんで慎重に取り除きます。
花柄摘み(花柄切り)とは、咲き終わった花を取り除く作業のことです。実際にはクリスマスローズの場合、花のように見えるものは萼片(がくへん)と呼ばれる、萼(がく)が進化したものですが、3月~4月にかけて次第に緑色に変色し、色が褪せます。そのまま残しておくと余分なエネルギーを消費してしまうので、萎れたり、色が褪せてきたりしたら、思い切って花がついている茎をすべて株元からカットしましょう。このとき、葉や新しい花芽を傷つけないように注意が必要です。
花柄を摘むことでクリスマスローズがエネルギーを消耗せずに新しい成長に集中できるようになります。また、株元に日光が当たりやすくなり、通気性も向上します。これにより、病害虫の発生を防ぐ効果も期待できます。
クリスマスローズによく見られる病気としては、灰色かび病やべと病が挙げられます。これらの病気は湿気が多い環境で発生しやすいため、適切な水はけの良い土壌を選び、風通しの良い場所に植えることで予防できます。また、葉や茎に異常が見られた場合は、早めに切り取って処分し、病気の拡散を防ぎましょう。
害虫としてはアブラムシやハダニが発生することがあります。これらの害虫は植物の汁を吸い取ってダメージを与えるため、定期的な観察と早期の駆除が重要です。見つけ次第、手で取り除くか、専用の殺虫剤を使用して対処しましょう。特にアブラムシは繁殖力が強いため、早期の対応が重要です。
過剰な肥料は、植物の抵抗力を弱め、病害虫の発生を助長することがあります。肥料は成長期に合わせて与えるようにしましょう。
クリスマスローズを鉢植えで長年栽培していると、株が大きくなる一方で花付きが悪くなります。株分けにより、鉢のサイズをコンパクトにし、クリスマスローズを増やしつつ花付きの良さを復活させることができます。地植えの場合は無理に株分けする必要はありませんが、あまりに密集している場合は風通しを良くするために株分けすることを検討しましょう。
株分けに適切なタイミングは開花後の3~4月、または10月~11月です。5~6年以上育てているクリスマスローズを対象に株分けをしましょう。
①株分けする前に、根を傷つけないよう株の周囲を丁寧に掘り起こします。
②株を掘り起こしたら、土を軽く落とします。
③健康な根が多く見られる部分で株を分けます。株分けする際には、清潔なナイフやシャベルを使って、株を2〜3つの均等なサイズに分けます。この時、各分けられた株に少なくとも3つ以上の新芽が付いていた状態で分けましょう。
④分けた株は、すぐに新しい鉢や地植えの場所に移します。
無茎種であればヘレボルス・ピコティ系が、有茎種であればヘレボルス・ニゲル(原種)が育てやすく、初心者におすすめの品種です。
異なる品種のクリスマスローズを組み合わせることで、オリジナルの色や形を持った新しい花を作り出すことができます。ただし交配した種が花を咲かせるまでには2年ほど苗の状態で栽培する必要があります。
具体的な交配方法としては、まず交配したい親株を選びます。次に、選んだ花の雌しべに交配したい花から採取した花粉をつけて受粉させます。受粉が成功すると子房が膨らみ、花後の莢(さや)から種が採取できるようになります。
クリスマスローズは種からも栽培することができます。ただし発芽から植え替えまでは6ヶ月、開花までは2年かかることに注意しましょう。種の採取は花が終わり、莢(さや)が茶色くなってきた夏の初めに行います。クリスマスローズの種は自然に落下してしまうため、網目が細かいネットや茶こしフィルターなどを莢(さや)にかけておくと採取しやすくなります。
クリスマスローズはその見た目の多様性から、多くの園芸愛好家に親しまれています。また、様々な交配が行われ、豊富な色や形のバリエーションの品種が楽しめるのも魅力の一つです。冬に花が少ない季節でも、栽培する環境や手入れによって、さらに美しい花を咲かせることができるため、ガーデニング初心者から上級者まで幅広く人気があります。育て方のポイントを押さえて、クリスマスローズの美しい花を長く楽しみましょう。