2024.11.26
失敗しないアジサイ(紫陽花)の育て方|肥料と剪定のコツ

梅雨の時期に、美しく見ごたえのある花を次々と咲かせる「アジサイ(紫陽花)」。アジサイは季節を感じさせる庭木として日本人には馴染み深く、公共の公園だけでなく家庭園芸においても非常に人気がある花木です。草丈は低いものの、分類としては樹木のため、樹形を維持しながら綺麗に花を咲かせるためには剪定などの手入れが必要です。この記事では、そんなアジサイの鉢植えの育て方、地植えでの育て方、肥料の頻度とタイミング、剪定のコツなどを初心者の方にも分かりやすくご紹介します。ぜひ育て方をマスターして庭やベランダなどで美しいアジサイを咲かせましょう。
アジサイの基本情報

アジサイとは?
アジサイは、梅雨の季節を象徴する花として知られています。原種である「ホンアジサイ」の原産地は日本ですが、海外で品種改良が進められたものが日本に渡り、「西洋アジサイ」として広く普及しました。アジサイの花は実際には小さな花が集まって大きな花のように見える構造で、「装飾花」と呼ばれる部分が主に観賞の対象となります。装飾花は品種によって形状や大きさが異なり、「ガクアジサイ」のように周囲に装飾花(ガク)が並ぶものや、「西洋アジサイ」のように手毬状に咲くものなど、さまざまな形があります。アジサイは、庭や公共の公園に植えられることが多く、その優雅な姿は風景に彩りを与えます。また、アジサイは古くから日本の文化や文学に登場し、和歌や俳句の題材としても親しまれてきました。アジサイは、季節の移ろいを感じさせる花として、多くの人々に感動を与える存在です。
また、アジサイは土壌の酸性度によって花の色が変わることで知られています。一般的には酸性の土壌では青色の花を、アルカリ性の土壌ではピンク色の花を咲かせますが、「アナベル」や「ノリウツギ」など元々の色のまま変化しない品種もあります。
アジサイの種類と特徴

一般的に知られているのは、ガクアジサイと西洋アジサイです。
ガクアジサイ
中心に小さな花が集まり、その周囲を大きな装飾花(ガク)が囲む独特の形状を持つのが特徴で、特に日本庭園でよく見かけられます。
西洋アジサイ(ハイドランジア)
ガクアジサイが西洋で品種改良されて生まれた品種です。丸いボール状に花が密集するタイプで、多様な色合いと形状が楽しめます。
ヤマアジサイ
日本の山間部に自生する種類で、小さな花と繊細な色合いが魅力です。ガクアジサイと同じく中心部は小さい花が集まり、その周囲に装飾花(ガク)が囲む形状ですが、葉の色がガクアジサイと比べて薄めで、光沢が少なく、葉に産毛が多いのが特徴です。
また、アジサイには旧枝咲きと新枝咲きといった咲き方の違いもあります。旧枝咲きは前年に成長した枝で花が咲き、新枝咲きはその年に成長した枝で花が咲くため、それぞれの剪定方法が異なります。ガクアジサイやヤマアジサイなど多くのアジサイは旧枝咲(前年に成長した枝に花が咲くタイプ)ですが、剪定を行う場合はアジサイの品種と花芽の付き方を確認しましょう。
アジサイを育てるための事前準備
アジサイの栽培カレンダー

適した環境
日当たりと風通し
アジサイは日当たりの良い場所を好む植物です。午前中は日が当たり、午後には日陰になるような場所が理想的です。特に夏場の直射日光に長時間当たると葉焼けしてしまう可能性があるので、少し遮光するか、鉢植えの場合は直射日光が当たらない明るめの日陰に避難させましょう。また冬の日照が少なくなる時期こそ、しっかりと屋外に鉢を出して日に当てるようにしましょう。アジサイは水を好む一方、過湿になりすぎると根腐れや病害虫の発生の原因となるため、風通しの良い場所を選びましょう。
土壌環境
アジサイは水を好む一方で、水はけが悪いと根腐れを起こします。植え付ける際は、軽石や砂を混ぜて排水性を高める工夫をしましょう。特に梅雨の時期には過剰な水分がたまりやすいため注意が必要です。
温度
アジサイは温暖な気候を好みますが、基本的には寒さにも暑さにも強い植物です。
置き場所(屋内or屋外)
アジサイは上記の通り、冬の寒さにも暑さにも強い植物のため、鉢植えで管理する場合、屋内・屋外どちらでも育てることができます。しかしアジサイは日当たりを好む植物であるのと、しっかりと冬の寒さに当てた方が葉を落葉させ、株を休眠させることができ、春からの活動期に備えて体力を温存させることができるので、鉢植えで育てる場合でも屋外に出して管理をすることをおすすめします。どうしてもアジサイを鉢植えで屋内管理したい場合は、なるべく日の当たる窓際に鉢をおいて管理しましょう。
苗の選び方
苗を選ぶ際には苗の健康状態を確認しましょう。葉が青々としていること、萎れて黄変していないこと、そして病気や害虫の兆候がないことが基本です。アジサイは花の色や形、大きさなど様々な品種があるため、自分の庭や鉢植えに合ったものを選びましょう。
アジサイの植え付け(植え替え)時期と方法

アジサイの苗を選んだら、次は鉢や庭に植え付け(植え替え)します。植え付けに適した時期は、アジサイが冬の休眠から目覚める前のタイミングの3月末頃がベストです。鉢植えで管理していた株の植え替えも、2年おきに3月末頃に行いましょう。アジサイは冬の期間11~3月頃まで葉を落として休眠していますが、4月頃より暖かさを感じ活動期に入ります。植え付け(植え替え)後のダメージから回復し、活動期に入り、スムーズに根が張れるようになる活動期前の3月末頃がおすすめする理由となります。
土壌の準備

アジサイは保水性と排水性の優れた土を好みます。自作する際は、赤玉土の小粒と腐葉土を配合しましょう。また、腐植資材リフカ※を加えることでさらに保水性と排水性が向上するのでおすすめです。花色が土壌pHで変化するアジサイの場合は、さらにpHを調整する資材を加えましょう。
赤色(ピンク色):pH7
土壌pHを高めに、アルカリ性寄りに設定します。赤玉土:腐葉土を7:3ほどで配合し、腐植資材リフカを加えます。またアルカリ性にするため苦土石灰または土壌pHバランス材※を混ぜ込んでpH調整します。
紫色:pH6
土壌pHを中性付近にします。赤玉土:腐葉土を7:3ほどで配合し、腐植資材リフカを加えます。苦土石灰または土壌pHバランス材※を少量混ぜ込んで調整します。
青色:pH4~5
赤玉土:鹿沼土:腐葉土:ピートモス(無調整)を同量の配合比率で混ぜ込み、土壌pHを酸性寄りに設定します。
※アジサイの花の色は、土のpHを調整したからといってすぐに咲いている花の色が赤色から青など変化するわけではなく、次に成長してくる花芽に影響を与えるとされています。色の変化は時間がかかるので、ゆっくりとアジサイの成長と色の変化を待ちましょう。
※腐植資材リフカ、土壌pHバランス材は自然暮らしの商品です。
鉢植えの場合

アジサイは根が広がりやすい性質のため、鉢植えの場合は深さのある直径30cm以上の鉢やプランターを選びましょう。
①鉢底には排水性を確保するための鉢底石を敷き、「土壌の準備」で調整した土を鉢やプランターに1/3ほど入れます。
②鉢、またはプランターの中で苗の根鉢(ポットに入っていた、土と根の塊の部分)を軽くほぐして、株元が鉢の縁から2〜3cm下になるように配置します。
③苗の株元まで調整済みの土を入れて、上から手で軽く押さえます。
③植えた後はたっぷりと水を与え、鉢植えの土がしっかりと湿るようにします。
冬の寒さや高温期の乾燥などからアジサイを守るために根元にバークチップなどでマルチングするのもおすすめです。
④直射日光を避け、風通しの良い半日陰の場所に置きます。
地植え、庭植えの場合

庭や地面に植え付ける場合、密植にならないよう注意しましょう。また植え付ける場所の日当たりは、半日以上日が当たる風通しの良い場所を選びましょう。
①「土壌の準備」で土を調整します。
②植え穴は苗の根鉢の3倍程度の直径を掘ります。
③苗の根鉢を軽くほぐし、根を広げて配置します。
④株元まで調整済みの土を入れて、上から手で軽く押さえます。
冬の寒さや高温期の乾燥などからアジサイを守るために根元にバークチップなどでマルチングするのもおすすめです。
⑤植えた後はたっぷりと水を与えます。
アジサイの育て方のポイント
水やりのタイミングと方法
アジサイは水を好み、乾燥に弱い植物です。そのため特に成長期には水が切れないように、土の表面が乾燥したらしっかりと水を与えることがアジサイを美しく育てるための重要なポイントになります。
鉢植えの場合

鉢植えの場合は基本的に土の表面が乾いてきたら、すぐに水を与えるようにしましょう。底から水が流れ出るまでしっかりと水を与え、鉢の受け皿に溜まった水は捨ててください。土の配合や鉢が置かれている場所、鉢の素材などでも水やり頻度は変わりますので、以下目安は参考としてください。
4~10月:1~3日に1回ペース
夏場は高温で乾きやすい場合、朝晩の涼しい時間帯に2回与えても良いでしょう。梅雨時期は土が乾ききらず湿っている場合があるので、鉢植えの土の様子を見ながら水やりをしましょう。
11~3月:10~15日に1回ペース
冬の休眠期間中は、土の表面を見て乾燥している場合は、水をしっかりと鉢底からしたたり落ちるほど与えましょう。表面だけで判断できない場合は鉢を手にもって、軽いと感じる場合は鉢植えの土の内部まで乾燥しているサインなので、しっかりと水を与えましょう。
地植え、庭植えの場合

鉢植えと異なり、地植えの場合は自然の降雨に任せることができますが、乾燥期には追加の水やりが必要な場合があります。水やりの頻度は季節や気候により異なりますが、週に1~2回が基本目安になります。乾燥しやすい夏場は朝晩の2回与えても良いでしょう。地植えの場合、梅雨時期は地面の土が乾ききらない場合があるので土の様子を見て、湿っている時には水やりを控えましょう。
肥料の与え方と注意点
アジサイには緩効性肥料を使用するのが一般的で、春先の新芽が出始めた頃と、開花後の時期が与えるタイミングの目安です。成分は窒素、リン、カリウムがバランス良く含まれた肥料を選ぶと良いでしょう。開花後にはリン酸を多く含む肥料を追加することで、次年度の花付きが良くなります。
肥料を与える時期と頻度
緩効性の固形肥料:
12月下旬~2月中旬:寒肥として1回 冬の間に春の活動期を迎えるための体力補給として
7~8月:礼肥として1回 花が咲き終わった後、体力が低下している株を回復させ、花芽の形成を促すため
液体肥料:
3~5月:追肥として10日に1回 新芽と花芽の展開を促進させるため
緩効性の固形肥料の与え方

アジサイが冬の休眠から明けて活動する前に、元気な状態で新芽の展開が行えるように寒肥として、12月下旬~2月中旬に1回、緩効性の固形肥料を与えます。また花が咲き終わった後から8月までに開花や剪定で体力を使ったアジサイを回復させるために礼肥を与えましょう。特に寒肥をしっかりと与えることで、その後の成長が順調になります。肥料は土の表面にまんべんなく散布し、その後十分な水を与えて土中に浸透させるようにします。
アジサイをきれいに長く楽しみたい方に
花の育成に特化+キャップで計量しやすい
ガーデンフラワー用肥料セット
ガーデンフラワー用肥料セットは、草花・球根・花木の生育に欠かせない成分を組み合わせた肥料セットです。有機配合なので、分解者である微生物を豊かにして土壌を改善。お花を生育すると同時に、育ちやすい土壌環境へと整えます。微量要素の入ったミネラル材を併用するので、微量要素の効果で美しく大きな花に。有機特有の臭いが少なく、ご近所との距離が近いお庭やベランダでも安心してご使用いただけます。また付属のキャップで簡単に計量ができるため、肥料の過不足の不安が少ない商品です。
ガーデンフラワー用肥料セット
液体肥料の与え方

液体肥料は水に肥料成分が溶けているので固形肥料よりも速効性があります。追肥として3~5月の新芽の展開を促進させるため液体肥料を10日に1回のペースで使用するとアジサイをより美しく健康的に育てることができます。特に鉢植えの場合、ジョウロなどでうすめた液肥で追肥を行う管理が簡単なのでおすすめです。
使いやすさと効果、デザインで選ぶなら
ワンプッシュで簡単計量
水でうすめる有機液肥
水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄を配合しているので、光合成をサポートしながら丈夫に育てます。
水でうすめる有機液肥
肥料を与える時の注意点
肥料の窒素(N)が多すぎると、アジサイは葉が過剰に成長し、花つきが悪くなることがあります。与える時期と量を守るように気を付けましょう。肥料が直接当たってアジサイの根を傷つけないように、肥料は株元から少し離れた場所に施すこともポイントです。
土壌pHを調整する資材の併用
アジサイの品種によっては土壌のpHが花色に影響するため、花の色を変えたい、又はより濃くしたい場合はpHを調整する資材を使用しましょう。
すでに青色のアジサイを育てている場合、酸性土壌を維持するために硫酸アルミニウム(ミョウバンカリウム)を水で500倍~1000倍に希釈して、春と秋に月1回程度与えると効果的です。※過剰に使用すると根を傷める原因となるので、規定量を守りましょう。アナベルやノリウツギなど品種によっては花色が変わらないものもあるので注意しましょう。
アジサイの剪定方法
アジサイは剪定することでコンパクトになり、管理がしやすくなるだけでなく、風通しが良くなり、美しい姿に整えることができます。
品種によって花芽の付き方で剪定方法が異なるため、下記を参考に剪定をしてみてください。
旧枝咲の品種:西洋アジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、カシワバアジサイ
新枝咲の品種:ノリウツギ、アナベル(アメリカアジサイ)、ピンクアナベル
新旧両枝咲の品種:アジサイレッツダンス、サマーメドレー、ヤマアジサイスタッフなど
旧枝咲きの剪定方法
9~10月頃、前年に成長した枝に花芽が付き、花が咲くアジサイが「旧枝咲き」タイプです。基本的に多くのアジサイはこの旧枝咲の品種が多いのですが、剪定する枝を間違えると、翌年に花が咲かなくなるためご注意ください。地植えで管理している場合、ある程度大きくなった株は雪の重みで枝が折れてしまう事もあるので、剪定は花後に行うように心がけましょう。
- 旧枝咲きの剪定時期:7月
アジサイの花が終わり始めたころ、花が咲いている枝のみを対象として、花下から2~3節目の脇芽から2~3cm上を剪定します。
※花が咲いていない枝は、翌年に花を咲かせるため切らないようにします。古い枝や細い枝は剪定し、枯れた葉は株元から取り除きましょう。
※秋までに剪定ができなかった場合は、9~10月頃には新しい花芽が形成されているので株の体力を温存させるためにも剪定は控えましょう。
新枝咲き・新旧両枝咲きの剪定方法
「新枝咲き」のアジサイは、春からの成長期に伸びた枝に花を付けるタイプです。冬の休眠から明けた4月頃に花芽を付けます。剪定可能な時期も長く、花が終わってから古い枝、新しい枝に関係なく剪定をすることができるので、初心者におすすめのタイプです。「新旧両枝咲き」のアジサイは春からの成長期に伸ばした新しい枝と、前年の古い枝の両方に花芽を付けるので、こちらのタイプも剪定管理がしやすいアジサイです。
- 新枝咲の剪定時期:7月~翌年3月迄
樹形を維持して、たくさん花を咲かせたい場合:弱剪定

今の樹形を維持していきたい場合は弱めに剪定をしましょう。7~8月に花が終わったら花先だけを剪定し切り落とします。その後冬にかけて、混み合っている枝や細い枝をカットし、ある程度増えてきた新芽の少し上で軽く剪定します。弱剪定をすることで風通しを良くしつつ、樹形を維持させるので、枝と花芽が増え、花数が多くなります。枝と花芽が多くなる分、栄養が分散され、1つ1つの花の大きさは小さくなります。
樹形をコンパクトに、大きな花を咲かせたい場合:強剪定

株が大きくなりすぎてコンパクトにしたい場合は、おもいきって強剪定をしましょう。株元から2〜3節残して、全体的に枝を剪定します。 強剪定をすると、枝が一時的に減るので、枝につく花芽が少なくなり、結果として花数は少なくなりますが、1つの花に栄養を集中させることが出来るので、花が大きくなります。
育て方Q&A
花の色は何で決まる?

アジサイの花の色は、主に土壌のpH値によって決まります。酸性の土壌では青色の花が咲きやすく、アルカリ性の土壌では赤色やピンク色の花が咲く傾向があります。土壌のpHが中性に近づくと、紫色の花が見られることもあります。この現象は、土壌中のアルミニウムイオンが影響しており、酸性土壌ではアルミニウムイオンが溶け出し、それがアジサイに吸収されることで発現します。具体的にはアジサイに含まれるアントシアニンとアルミニウムが結合し、そこに助色素が加わって青色が発現します。一方、アルカリ性の土壌ではアルミニウムイオンの吸収が抑制されるため、赤色やピンク色が優勢になります。
また、花の色は栽培品種の特性にも影響されます。同じ土壌条件でも、品種によっては色の変化が異なる場合があります。さらに、気候や栽培環境、肥料の種類なども微妙な色の変化に影響を与えることがあります。例えば過剰なリン酸肥料はアルミニウムの吸収を阻害し、青の発色を弱めることがあります。
アジサイの花色で青色を強調したい場合は、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)を溶かした水を土に与えて、酸性度を高めるのがおすすめです。逆に、赤色やピンク色を強調したい場合は、苦土石灰を加えて土壌をアルカリ性に近づけます。ただし土壌改良には時間がかかるため、前もって調整することをおすすめします。
花が咲かない原因は?
西洋アジサイやガクアジサイなどをはじめ、アジサイの多くは旧枝咲きで、前年に伸びた枝に花芽をつけるため、剪定を行う時期が遅れると花芽を切り落としてしまう可能性があります。剪定の適切な時期は、7月頃の花が終わった直後です。
また、栄養不足も原因となります。特にリン酸が不足すると花芽が形成されにくくなりますので、バランスの良い肥料を与えることが重要です。
次に、日照条件も大切です。アジサイは日当たりを好む植物です。夏場の直射日光に当たると葉がダメージを受けてしまいますが、日が全く当たらない環境では日照が足りず花が咲かないことがあります。適度な日光と風通しの良い場所を選びましょう。
また、アジサイは水を好む植物のため、水が不足し乾燥しすぎると花芽が形成されにくくなり、花が咲かない場合があります。一方で過湿になると根腐れを引き起こしてしまうため、特に鉢植えの場合は土の乾燥状態を観察し水やりを行いましょう。
アジサイの増やし方は?
アジサイの増やし方には主に「挿し木」と「株分け」の二つの方法があります。「挿し木」の方がアジサイを簡単に増やせるのでおすすめです。
挿し木で増やす方法
挿し木の方法

①脇芽が出かけているような元気で健康なアジサイの枝を10cmほど切り取り、蒸散を防ぐために挿し木にする枝の下の葉を取り除き、枝の上の葉は半分にカットし、吸水し易いように枝の下の部分を少し斜めにカットします。
②切り取った枝を水差しなどに入れ、1時間以上水に浸します。
③鉢やポットに肥料が含まれていない赤玉土や鹿沼土の小粒を入れ、発根用の挿し床を準備します。
④挿し床の土に水をしっかりと与えて湿らせ、竹串や割りばしで挿し穴を開け、挿し木を差し込みます。
⑤直射日光を避けた明るめの日陰に置き、挿し木から根が出るまで管理します。
※挿し木は根が出るまで約1ヶ月かかるため、その間は土が乾かないように適宜水を与えるようにしましょう。
⑥発根が確認出来たら挿し木を更に成長させるために、肥料入りの培養土を入れた鉢やポットに植え替えましょう。
株分けで増やす方法
株分けの方法
株分けは冬の落葉期11~3月に行います。株分けは鉢植えで成長したアジサイの株をコンパクトにする際に行うのがおすすめです。鉢植えから株を取り出し、根を傷付けないように丁寧に分けます。分けた株はすぐに新しい鉢に植え付け、水をたっぷりと与えます。株分けは挿し木よりも大きな株を短期間で得ることができます。地植えの場合も株分けが出来ますが、アジサイが地中に根を深く張っている場合、掘り起こすのが難しく、根を傷つけてしまう可能性が高いのであまりおすすめはしません。
かかりやすい病害虫は?
病気
アジサイには「うどんこ病」と「灰色かび病」の発生がよく見られます。うどんこ病は、葉や茎に白い粉状のカビが生える病気で、風通しが悪い環境で発生しやすくなります。対策としては、適切な間隔を空けて植えることや、風通しの良い場所を選ぶことが重要です。また、灰色かび病は湿度が高い時期に発生しやすく、特に梅雨の時期に注意が必要です。この病気は花や葉に灰色のカビが生えるのが特徴で、発生を防ぐためには、花がら摘みや適切な剪定によって植物の通気性を確保することが有効です。
害虫
「アブラムシ」や「カイガラムシ」がアジサイに付きやすい害虫として知られています。アブラムシは新芽や葉の裏に群がり、植物の成長を妨げることがあります。これを防ぐためには、早めに見つけて手で取り除くか、専用の殺虫剤を使用することが有効です。カイガラムシは、茎や葉に付着し、植物の養分を吸い取ります。カイガラムシの対策としては、ブラシや布で物理的に取り除くのが効果的です。また、油性の殺虫剤をスプレーすることも考慮に入れると良いでしょう。
育て方のポイントを押さえて美しいアジサイに

アジサイは成長が早く、剪定や植え替えなどの手間はかかりますが、うまく育てることで綺麗で美しい花を長く楽しむことができます。育て方のポイントを押さえて、アジサイを健康に育て、美しく花を咲かせましょう。初心者で剪定に自信が無いという方は、剪定の失敗が少ない新枝咲きのアジサイ品種からチャレンジしてみてください。