2025.05.08
美味しいパクチーの育て方|育てるコツとポイント

パクチー(コリアンダー)は独特の香りと風味で人気のハーブです。初心者でも育てやすい植物ですが、育て方のポイントを押さえることでより香り良いパクチーをたくさん収穫することができます。ここでは、適切な日当たり、温度管理、用土の選び方から水やりのポイントまで、育て方を詳しく解説します。
パクチー(コリアンダー)の基本情報

パクチー(コリアンダー)は、セリ科の一年草で、独特の芳香を持つハーブとして知られており、アジア料理や中南米料理で広く利用されています。パクチーの葉は「シラントロ」とも呼ばれ、種子はスパイスとして用いられます。
パクチーは高さ30~50cmに成長し、細かく裂けた葉を持ちます。花は白または淡いピンク色で、春から初夏にかけて咲き、丸い実をつけます。パクチーは温暖な気候を好み、日当たりの良い場所で元気に育ちますが、比較的寒さにも強い性質があります。
パクチーに適した栽培環境

日当たり・置き場所
パクチー(コリアンダー)は日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。また、真夏の強い直射日光は苦手なため、強い光が当たらない場所に移動するか、日陰をつくると良いでしょう。
パクチーは高温多湿を苦手とするため、梅雨の時期や湿度が高い季節には注意が必要です。適度な風が通る場所を選んで植え付けましょう。
温度と用土
パクチーは15~25℃が生育適温です。夏場は温度が上がりすぎないように工夫し、半日陰で育てるようにしましょう。比較的耐寒性はありますが、急激な温度変化は避け、安定した気温を保つことが望ましいです。
またパクチーの栽培には、水はけが良く、肥沃で、pH6.0~7.0の中性から弱アルカリ性の土壌が適しています。栄養バランスが整った市販のハーブ用培養土を使用すると良いでしょう。自作する場合は、赤玉土を2割、腐葉土を3割、バーミキュライトを2割、腐植資材リフカ※を3割混ぜて、土壌pHバランス材※を混合します。
※腐植資材リフカ、土壌pHバランス材は自然暮らしの商品です。
パクチーの育て方
パクチーの栽培時期

種まき
パクチーは発芽までの管理が非常に重要です。発芽してからは比較的簡単に育てることができるため、しっかりと種からの育て方のポイントを押さえておきましょう。
種をまく前の準備
種まきの時期は気温が20℃ほどになる春~初夏(4月~6月)、秋(10~11月)が適しています。パクチーはプランターの深さが20cm以上あると良く育ちます。また、大きさとしては1株あたり15cmの直径が必要なため、1株だけ育てるのであれば5号鉢を、複数本育てたい場合は大きな鉢や65型プランターを利用しましょう。さらに大きく育てたい場合は、庭や畑に直接まいても良いでしょう。
発芽率をアップさせるポイント

★パクチーの種は、硬い殻に覆われています。殻を割って一晩水に浸してからまくことで発芽しやすくなります。
種をまく前日に殻を割って種を傷つけないように取り出し、一晩水に浸しましょう。
土壌の準備


土壌のpHを調整し、有機物でふかふかにしつつ初期生育に必要な栄養を準備します。
・pHの調整に苦土石灰または土壌pHバランス材※₁、堆肥または腐植資材リフカ※₂を植え付けの2週間前に土に混ぜ込む。
・元肥と副資材(ミネラル材、アシスト材)は1週間前に混ぜ込んでおきます。
※プランター栽培で培養土にあらかじめ肥料が入っている場合は、元肥は与えずに副資材(ミネラル材、アシスト材)のみを与えます。
※₁土壌pHバランス材※₂腐植資材リフカは『自然暮らし』の商品です。
おすすめの元肥の種類と量の目安
パクチーの元肥には、緩効性の固形肥料がおすすめです。有機質や緩効成分(ジシアンジアミドやウレアホルムなど)を配合した化成肥料であれば、速効性と緩効性を兼ね備えているためバジルの初期成長をしっかりとサポートすることができます。
「ガーデンフラワー用肥料」を元肥として使用する場合、
5号鉢: 2~3g
10号鉢: 7~10g
65型プランター: 10~15g
庭・畑: 1㎡あたり50~100g
が目安の量になります。
ハーブ栽培にもおすすめの肥料セット

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ガーデンフラワー用肥料セットは、草花・球根・花木の生育に欠かせない成分を組み合わせた肥料セットです。有機配合なので、分解者である微生物を豊かにして土壌を改善。植物を生育すると同時に、育ちやすい土壌環境へと整えます。微量要素の入ったミネラル材を併用するので、花や葉をしっかりと育てます。有機特有の臭いが少なく、ご近所との距離が近いお庭やベランダでも安心してご使用いただけます。また付属のキャップで簡単に計量ができるため、肥料の過不足の不安が少ない商品です。
鉢・プランター栽培の場合

①底石用の軽石を入れ、「土壌の準備」で調整した培養土をプランターの8分目まで入れます。
②鉢底から流れ出るくらい、たっぷりと水を与えます。
③条間を15cmほどに設定し、すじまきをしてごく薄く土をかけます。
④害虫から守るため、防虫ネットを被せます。
畑栽培の場合
①「土壌の準備」で土壌を調整しておきます。
②条間を15cmほどに設定し、すじまきをしてごく薄く土をかけます。
③薄く覆土をして鎮圧します。
※種まき後、畑が乾燥していたらたっぷりと水を与えます。
間引き

間引きは、発芽した苗が密集して生育するのを防ぎ、健康的で充実した株に育てるための重要なステップです。間引きを行わないと苗同士が十分な日光や栄養・水分を得られず、成長が阻害されてしまうため、発芽後は必ず行いましょう。
最初の間引きのタイミングは、種まきから約2〜3週間後、苗が本葉を2〜3枚出した頃です。健康で勢いのあるものを残し、弱々しい苗や過密になっている部分を選んで間引きます。間引いた苗は、サラダやスープのトッピングとして使用することもできます。
その後も葉が触れ合うようになったら都度間引きを行い、最終的に1株あたり15〜20cmの間隔にします。
苗を植え付けて育てる場合の方法

パクチーを少しだけ育てたいという方は、苗からの育成がおすすめです。
ホームセンターや園芸店で購入する際は、葉の色が濃く、徒長していないがっしりとした苗を選びましょう。
①「土壌の準備」で土壌を調整しておきます。プランター栽培の場合は鉢底石を入れ、プランターの8分目まで調整した土を入れます。
②ポットから苗を優しく抜き取り、土の上部とポットの土の上部が同じ高さになるくらいに苗を植えます。複数本を植え付ける場合は、株間を15cm以上取りましょう。パクチーは移植を嫌うため、根鉢は崩さないように注意します。
③苗と新しい土が密着するように軽く押さえ、ぐらつかないようにします。
④たっぷりと水を与えます。(プランターの場合は、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと)
水やりのポイント

パクチーは土が乾燥しすぎないように注意が必要です。ただし、過度な水やりは根腐れを引き起こす可能性があるため、土の表面が乾いたら水を与えるようにします。梅雨時期や雨の日が続くときは水やりの頻度を減らし、暑い夏場は朝夕の涼しい時間帯に与えることもポイントです。
水やりの際は、葉に直接水をかけるのではなく、土にしっかりと水を行き渡らせることを意識しましょう。葉に水がかかると、日光の強い日には葉焼けを起こす可能性があります。
肥料の与え方(追肥)
種まき・植え付けの前に与える「元肥」でも十分に成長しますが、葉が黄色になる、弱弱しいといった場合は「追肥」をして栄養を補給しましょう。
ただし過剰な肥料は逆効果で、成長が停滞する原因になります。ラベルに記載された使用量を厳守し、必要に応じて少量ずつ与えるようにしましょう。また、液肥を与える場合は水やりと同様に、時間帯に注意が必要です。気温が高く日差しの強い時間帯を避け、早朝や夕方に施しましょう。
化成肥料を与える場合の目安量
「ガーデンフラワー用肥料」を使用する場合の目安量は下記の通りです。
- 5号鉢: 1~2g
- 10号鉢: 3~4g
- 65型プランター: 4~6g
- 庭・畑: 1㎡あたり30~40g
液体肥料を与える場合の目安量
「水でうすめる有機液肥」を使用する場合、ジョウロに1~2プッシュした後に水1Lでうすめて与えます。
おすすめの液体肥料

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水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄を配合しているので、光合成をサポートしながら丈夫に育てます。
病害虫対策
パクチーは比較的丈夫な植物ですが、葉が大きく成長するとアブラムシやハダニ、ヨトウムシなどの害虫が発生することがあります。これらの害虫は葉を食害し、植物全体の健康を損なう原因となります。害虫の発生を防ぐために、定期的に葉の裏側をチェックし、早期発見に努めましょう。
病気に関しては、立ち枯れ病やうどんこ病がよく見られます。これらは主に水はけの悪い環境や過密な植え付けによって発生しやすくなりますので、適切な間引きと通気性の良い環境を整えることが予防の鍵です。
パクチーの収穫方法

パクチーの草丈が20cm以上になったら収穫タイミングです。種まきから収穫まで、6~8週間かかります。
パクチーは下方にある外葉から収穫して、上の若い葉は残すようにしましょう。光合成をして、また新たな若い葉を次々とつけていきます。
花が付いてしまうと葉が硬くなり、風味も変わるため、開花前に収穫をすることをおすすめします。もしつぼみを発見したら、早めに摘み取っておくと長く収穫を楽しむことができます。
≫花が咲いた時の対処法はこちら
コンパニオンプランツとしての活用方法

パクチー(コリアンダー)はコンパニオンプランツとしても優れた特性を持っています。コンパニオンプランツとは、特定の植物を近くに植えることで互いに成長を促進し、病害虫を防ぐ効果を持つ組み合わせのことです。パクチーはアブラナ科の野菜やトマト、ニンジン、ビートなどと相性が良いとされています。これらの植物と一緒に植えることでつきやすい害虫を遠ざけ、ハチを呼び寄せて受粉を促進するといったメリットがあります。
パクチーは日陰でも成長することができるため、他の植物の根元付近で育てるのがおすすめです。
育てた後のパクチーの管理

冬越し・夏越し
パクチーは夏と冬に適切な管理をすることで、年中収穫をすることが可能です。
冬は、暖かい地域であれば屋外で育てることも可能ですが、極端な寒冷地では室内に取り込むか、寒冷紗や不織布で覆うなどの防寒対策をしましょう。鉢植えの場合は、日当たりの良い窓辺に置きます。冬でも暖かい場所で育てることでパクチーは成長するため、引き続き収穫を楽しむことができます。
夏は高温多湿に注意が必要です。特に梅雨のように雨が降り続けるような時期は水やりを控え目にして、過湿状態にならないよう注意します。また、夏の強い直射日光はパクチーの葉が焼けてしまうため、半日陰に移動させるか日陰をつくると良いでしょう。
花が咲いた時の対処法

パクチーは花が咲くと葉の収穫期が終了し、種の形成にエネルギーを費やすようになります。開花後は葉が硬くなり、風味が変わることがあるため、葉の収穫を目的とする場合は早めに収穫を済ませておくと良いでしょう。
葉を長く収穫したい場合は、開花を遅らせることが重要です。つぼみが出始めた段階で摘み取るようにするか、日陰で育てるようにしましょう。
パクチーの花が咲いてしまった場合でも、花はサラダや料理の飾りに使うことができます。また、花が咲いた後にできる種を収穫して次の栽培に利用することも可能です。種はしっかりと乾燥させて保存しましょう。
パクチーの増やし方

パクチーは移植や挿し芽に適さない植物です。そのため、パクチーを増やしたいという場合は、花後の種を翌年にまく方法をおすすめします。
種の採取方法
花が咲いて種が成熟したら、株ごと引き抜いて風通しの良い場所で乾燥させます。乾燥が完了したら、種を丁寧に取り出して、涼しく乾燥した場所で保管しましょう。種を冷暗所で保管することで、発芽率を高めることができます。
水耕栽培での育て方

水耕栽培は、土を使わずに植物を育てる方法です。パクチーは液肥とLEDを使用することで、室内でも育てることができます。
様々な水耕栽培キットが販売されていますので、お部屋のグリーンを増やしながら栽培を楽しみたいという方はこちらもチャレンジしてみてください。
パクチーの育て方Q&A

発芽率向上のコツは?
・古い種子は発芽率が低下する傾向があるため、購入時期や保存方法に気を配りましょう。
・パクチーの種は、硬い殻に覆われています。殻を割って一晩水に浸してからまくことで発芽しやすくなります。種をまく前日に殻を割って種を傷つけないように取り出し、一晩水に浸しましょう。
・適切な温度管理も発芽率に影響を与えます。パクチーの種子は20℃前後で発芽しやすいため、適温期にまくようにしましょう。
・種をまいた後、勢いよく水やりをするとパクチーの小さな種子が流されてしまうことがあります。土にしっかりと水やりをして湿らせてから種をまくことが失敗を防ぐコツです。発芽までは、霧吹き等で優しく水やりをすることをおすすめします。
・種まきの深さが浅すぎると乾燥しやすく、深すぎると発芽が遅れる可能性があります。種まき後は土の表面を軽く押さえて密着させると良いでしょう。
種まきから収穫までの日数は?
パクチー(コリアンダー)の栽培において、種まきから収穫までの期間はおよそ6~8週間とされています。この期間は、栽培環境や気候条件によって多少前後することがあります。
地植えとプランター栽培の違いは?
地植えとプランター栽培の違いは、栽培環境や管理方法における特徴にあります。
地植えは、土壌の中で植物が根を広く伸ばすことができるため、パクチーがより大きく育ちやすいです。また、土壌の栄養分や水分保持力が優れているため、肥料や水やりの頻度を抑えることが可能です。しかし、地植えでは雑草の管理が必要であり、天候の影響を受けやすいといたデメリットも存在します。
一方でプランター栽培は、ベランダや小さな庭など場所を選ばずに栽培が可能です。移動も容易なため、日当たりや風通しの良い場所に簡単に移動することができます。プランターは土の量が限られているため、地植えに比べて頻繁な水やりが必要になります。
育て方のポイントを押さえて、香り高いパクチー(コリアンダー)へ
パクチー(コリアンダー)は発芽までの難易度が少し高めですが、ポイントを押さえることで初心者の方でも種から育てることができます。花が咲いた後の種から再び育てることも可能ですので、パクチーをよく使うという方はぜひ挑戦してみてください。
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