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ビカクシダの育て方|初心者が押さえたい育成や肥料のポイント

ビカクシダの育て方

ビカクシダ(コウモリラン)は、シダ植物の一種で、その独特な形状と美しい葉が多くの観葉植物愛好家を魅了しています。ビカクシダの育て方は比較的簡単で、板などに着生させて壁にかけて飾ることが可能なことから、室内のインテリアプランツとしても人気のある植物です。この記事では、初心者の方でも分かりやすいビカクシダの育て方やおすすめの肥料・与え方などをご紹介します。

ビカクシダ(コウモリラン)とは?

ビカクシダ(コウモリラン)とは?

ビカクシダ(鹿角羊歯)は「プラティケリウム」属に分類され、別名「コウモリラン」と呼ばれています。鹿の角やコウモリの羽のように伸びる特徴的な葉の熱帯性の植物で、原種が18種類存在すると言われています。原産地はアフリカ、アジア、オーストラリア、南米などの4つの熱帯地域で、基本的な姿としては長く伸び出す立体的な葉「胞子葉」と、根を保護し、水分や栄養を蓄える役割の「貯水葉」の2つの特徴的な葉を持ちます。
ビカクシダは、他のシダ植物と同様に花を咲かせません。そのため、種の代わりに胞子で子孫を増やします。現在タイや台湾などのアジアを中心に盛んに品種改良され、コンパクトに育つ品種や、葉の色や形に特徴がある品種など、多くの美しい彫刻のように芸術的なビカクシダが生まれ、観葉植物愛好家たちに愛されています。

ビカクシダ(コウモリラン)のアレンジ方法(板付け、鉢植え、苔玉仕立て)

ビカクシダは自生地では樹の上など高所に着生して生育する植物です。その性質を利用することで、壁掛けで飾るなど、おしゃれなインテリアとして楽しむことができます。

板付け

板付け

鉢ではなく、木の板やコルク板などにビカクシダを着生させて育てる方法です。この方法は、ビカクシダを自然の環境に近い形で育てることができます。板付し壁掛けしたビカクシダは、見た目の美しさだけでなく、手入れのしやすさも魅力です。初心者の方にもおすすめのディスプレイ方法です。

》板付けの方法はこちら

鉢植え

鉢植え

鉢植えは、鉢の中の土にビカクシダを植えて育てる方法です。鉢植えの利点は、移動がしやすく、管理が比較的簡単なことです。ビカクシダの苗がまだ小さい場合は、特に鉢やポット植えにすることでコンパクトに育成する事が出来るので、光や湿度の調整、苗の管理がしやすくなります。また、鉢植え用の土は水はけが良く、通気性の高いものを選ぶとよいでしょう。

苔玉仕立て
苔玉とは、ビカクシダの苗を水苔で包んで球状に仕立て、お皿の上に置いたり、柱や天井から吊るしたりして楽しむ方法です。和の雰囲気を演出するインテリアとしても育てることができます。

》苔玉仕立ての方法はこちら

代表的な種類(一部)

代表的なビカクシダ(コウモリラン)の種類

プラティケリウム・ビフルカツム:オーストラリア東海岸原産のビカクシダで、ビカクシダとして流通している中では最も流通量が多い品種です。ビフルカツムは暑さや寒さに強く、環境適応能力が高いので、育て方に不安がある初心者でも育てやすいビカクシダです。

プラティケリウム・コロナリウム:コロナリウムは東南アジア原産のビカクシダで、貯水葉、胞子葉ともに比較的大きくなる品種です。胞子葉は切れ込みが多く分岐し、ウェーブして下に垂れ下がっていく特徴があります。

プラティケリウム・リドレイ:リドレイはビカクシダの名前の通り、鹿の角のように上部に突き出しながら分岐する胞子葉を持ち、キャベツのように美しく波打った葉脈の胞子葉が特徴的なビカクシダです。リドレイは日本の寒さと暑すぎる夏に少し弱い面があるものの、環境を整えれば比較的育てやすい品種です。

プラティケリウム・ウィリンキー:ウィリンキーは胞子葉を下に伸ばしながら細く分岐し、貯水葉も上に立ち上がりながら分岐していく品種です。胞子葉や貯水葉に星状毛が生えており、うっすらと白みがかった葉がとても美しいビカクシダです。品種改良によって多くの交配種や選別個体が生まれ、種類も多いビカクシダの一つです。

上記の他にも、ビフルカツムの改良種「ネザーランド」や、大型種の「グランデ」や「スパーバム」、象の耳のような胞子葉の「エレファントティス」、うねるような胞子葉の「ヒリー」など様々な種類と特徴のビカクシダがあるので自分の好きな形のビカクシダをぜひ見つけてください。

ビカクシダ(コウモリラン)の育て方の基本

ビカクシダ(コウモリラン)の育て方の基本

適切な置き場と環境

ビカクシダ(コウモリラン)は熱帯性の植物のため、暑さには比較的強いものの、日本の局所的に30℃を超す暑すぎる夏が苦手な観葉植物です。またある程度耐陰性はありますが、綺麗に胞子葉を展開させたい場合はある程度の日当たりが必要になり、耐寒性もそれほど高くはないので冬は室内に取り込むのをお勧めします。色々と気遣いが必要なビカクシダですが、ビカクシダにとって育ちやすい環境を整えてあげると、成長点からの胞子葉の展開が早くなり、日ごとに少しずつ成長する姿を楽しむことができます。ビカクシダを健康に美しく育てるためにも、以下を参考に最適な置き場所と環境を用意してあげましょう。

季節ごとのおすすめの置き場所

季節ごとのおすすめの置き場所

春と秋(4~6月、9~11月):
屋外の風通しの良い、明るめの日陰

夏と冬(7~8月、12~3月):
室内の風通しの良い、レースカーテン越しの窓際(植物用LEDで補光すると良い)

日当たり
ビカクシダは明るい日当たりが良い場所を好みますが、直射日光は避けるようにしましょう。特に夏場の強い日差しは葉焼けの原因となるため、レースのカーテン越しの光が当たる窓際や、明るい日陰(20~50%ほどの遮光率)で育てると良いでしょう。葉が焼けると胞子葉や貯水葉が茶色~黒色に変色してしまいます。室内から屋外に出すときや、季節の変わり目で日当たりが変わる時は特に注意しましょう

温度と湿度
ビカクシダはオセアニアや南アフリカ、東南アジアなどで生育する熱帯性の植物のため、温暖な気候を好みます。ビカクシダの生育適温は20~25℃(最低10℃~最高30℃)で、15℃を下回り始めると生育が落ちます。また、30℃を超し、40℃近くなると胞子葉が垂れ下がり根や葉がダメージを受けてしまうので注意しましょう。外気温が高い時は、涼しい室内にビカクシダを避難させても良いでしょう。
湿度は50~70%と比較的高めの環境を好むため、冬場の室内など乾燥する季節は室内に加湿器を置くか、定期的に霧吹きで湿度を保つと良いでしょう。ただし着生させる水苔や土などが常に湿っている場合は根腐れしやすくなるので、水やりのタイミングと頻度については注意しましょう。
》詳しい水やり方法はこちら

培地
水はけが良く、適度な保水性を兼ね備えている培地が理想的です。一般的には、水苔を主体として細かいバークチップなどを混ぜた培地を使用するのがおすすめです。水苔は保水性に優れ、ビカクシダの根を適度に湿らせるのに適していますが、過度の湿気は根腐れを引き起こすため注意が必要です。特に冬の時期は表面が乾燥していても、中心部まで乾燥しきれていない場合もあるので気を付けましょう。

風通し
ビカクシダは風通しの良い環境を好み、自生地では樹の上など高所に着生して生育する植物です。屋外・屋内問わず、風通しの良い環境を確保するようにしましょう。室内で管理する場合は、扇風機やサーキュレーターでビカクシダの胞子葉が少し揺れるくらいの強さで巡回させるようにしましょう。冬場は空気が乾燥するため、暖房や乾いた風が直接当たらないように工夫しましょう。

室内用LEDの利用
室内でビカクシダを育てる場合、自然光が不足しがちになります。植物用LEDライトを設置して、ビカクシダに必要な光量を補うようにすると良いでしょう。植物用のLEDライトを使用する場合は、ライトとビカクシダの距離を30㎝以上離して使用します。※
特に、30℃を超す酷暑の夏場や、ビカクシダを屋内に取り込んで管理する冬場は、室内でLEDを当てることでビカクシダの健康を保つことができます。LEDライトは日光の代わりとして非常に有効ですが、常に点灯しておく必要はありません。一般的には、8~12時間程度の明るさを確保するようにタイマーを使って調整すると良いでしょう。

※詳細は各植物用ライトのメーカーにてご確認ください

ビカクシダ(コウモリラン)への水やりのタイミングと方法

ビカクシダ(コウモリラン)への水やりのタイミングと方法

ビカクシダは比較的水を好む植物ですが、根が常に水にさらされて呼吸ができない状態が続くと、根腐れを引き起こすことがあります。水やりの頻度とタイミングは季節・環境・板付けor鉢植えによって異なりますが、基本的には培地(水苔や土)が乾燥したタイミングで水を与えると良いでしょう。(板付けで着生させている場合)水苔に触れて乾燥状態を確認する、または手に持った時の重さで乾燥しているかどうか判断します。

水やりタイミング

春~秋(4~11月):
ビカクシダの成長が活発になる時期です。培地が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。特に、夏の場合は高温によって乾燥しやすく、水切れになりやすいので注意しましょう。水やりは、比較的涼しい朝方か夕方に行うようにしましょう。一方で30℃を超す高温状況下では、ビカクシダの生育が鈍くなります。この場合は、水を与えてもビカクシダの活動が低下しているので水の吸収力が落ち、水苔が乾きにくくなります。高温時は水苔の乾燥状態を確かめて水を与えるようにしましょう。(外気温が30℃を超す日が続く場合は、屋内にビカクシダを退避させることを検討しても良いでしょう。)

冬(12~3月):
成長が緩やかになり、根からの水の吸収量が落ちてきます。水やりの頻度を減らし、培地の表面がある程度乾いたのを確認してから、更に1~3日後にしっかり乾燥したのを確認して水を与えます。水苔や土の中心部が湿った状態が続くと、中心部の根が呼吸できず、根腐れを起こして枯れてしまう場合があるので注意が必要です。冬の期間は水苔の状態を確認して、しっかりと乾燥させてから水を与えるようにしましょう。

水やり方法

シャワーやジョウロで水を与える方法と、水を張ったバケツにビカクシダを浸水させる方法との2つの方法があります。

①シャワーやジョウロで水を与える場合
培地の中心部までしっかりと水分を浸透させます。1回では表面までしか水を含むことができない場合があるので、何回かに分けて水を与えるようにしましょう。

②水に浸ける場合
ビカクシダ全体を水に10~15分浸けて水を吸わせる方法です。培地の中心部まで水をしっかり浸透させることができるので、水苔が完全に乾いてしまった場合にもおすすめです。板付けの際に沢山水苔を盛っている場合は、水苔の表面が水分を吸収して柔らかくなっても、中心部まで水分が浸透しない場合があるので注意しましょう。

水やりの注意点

水やりの注意点

水苔の完全な乾燥
板付けで使用する水苔は、完全に乾燥するとカチカチに固くなり、水を弾きやすくする性質があります。水を弾くようになると、中心部まで水が浸透しにくくなり、成長期に水を供給することが難しくなってしまいます。ジョウロやシャワーで水を与える場合は、何回かに分けて水苔に水をしっかり吸収させましょう。

季節ごとの水やりのポイント

夏の時期の水やり:
春から秋はビカクシダの成長期ですが、気温が30℃を超えてくると活性が落ちて根からの吸水量も落ちます。常に水苔などの培地が湿った状態だと、根が呼吸できずに根腐れを起こす、もしくは培地に白くカビが生えてしまう場合があるため、夏場の特に湿度が高く、気温が30℃を超す場合は株と水苔の状態を確認しながら水を与えましょう。

冬の時期の水やり:
冬は吸水量が減る一方、室内の乾燥した空気により水苔の表面が乾燥しやすい状態になります。表面が乾燥していても中心部までは乾燥していない場合があるので、表面の乾燥を確認してから1~3日後に水を与えるようにしましょう。冬場は水やりの頻度を少なくして、乾燥気味に育てるようにしましょう。

水切れのサイン

ビカクシダの水が切れてしまうと、胞子葉がシワシワになり、張りがなく、柔らかくなって垂れ下がってきます。また胞子葉の葉先が枯れ、色がくすんだ色に変色する場合もあります。水苔が濡れているのに、胞子葉が元気なく垂れている場合は根腐れになっている可能性があるので注意しましょう。毎日ビカクシダの状態を観察しながら水切れにならないよう注意しましょう。

ビカクシダ(コウモリラン)におすすめの肥料と与え方

ビカクシダ(コウモリラン)におすすめの肥料と与え方

ビカクシダは適切に肥料を与えることで、葉の色が良くなり、胞子葉の展開が早まり、貯水葉も綺麗に大きく広げることができます。ビカクシダを育てているけど成長点から葉の展開が遅いと感じている方は、環境だけでなく肥料が不足している場合があります。以下はビカクシダにおすすめの肥料と与え方を参考にしてみてください。

ビカクシダ(コウモリラン)への肥料の与え方

緩効性肥料:
緩効性肥料はゆっくりと効果が持続する肥料のことです。2~3ヶ月の期間、水やりと共に徐々に溶け出し、栄養を供給してくれるため、過剰施肥による根へのダメージを防ぐことができます。ビカクシダを板付けする際に培地に混ぜるか、水苔の上部に不織布などに少量の肥料を入れてホッチキスなどで固定して肥料を与える方法があります。

液体肥料:
液体肥料は、与える頻度や量を調整できるため、ビカクシダの成長状況に合わせた施肥が可能です。成長期の春(4~6月)と秋(9~11月)に、1~2週間に1回の頻度で与えましょう。夏と冬の期間はビカクシダの活性が落ちるので、施肥は控えるのが良いと思います。肥料の与え方としては、①バケツに水で液肥を薄めた溶液をつくり、そのままビカクシダを漬けこむ方法 ②水で希釈した液肥をジョウロで与える方法 の2つがあります。②の方法で液肥を与える場合の注意点として、水苔が乾燥していると、ジョウロで液肥を与えても水苔に浸透していかない場合がるので、初めに水苔に水をしっかり与えて、中心部まで水が浸透した後に、水でうすめた液肥を与えてあげると良いでしょう。

ビカクシダをしっかり&じっくり育てるなら

ワンプッシュで簡単計量
水でうすめる有機液肥

水でうすめる有機液肥は、ビカクシダにもおすすめの有機入りの液体肥料です。従来のキャップ計量とは異なり、プッシュポンプ式なので手が汚れず、規定量排出されるので肥料の与えすぎを防ぐことができます。ビカクシダには水1Lに対してワンプッシュ(1ml)でOK。さらに有機由来のアミノ酸を含有&キレート鉄を配合しているので、光合成をサポートしながらしっかり&じっくり丈夫に育てます。

 

葉面散布:

ビカクシダ(コウモリラン)への葉面散布

葉面散布は葉から栄養素を直接吸収させることができる施肥方法です。1~2週間に1回の頻度で、水でうすめた肥料をビカクシダの胞子葉と貯水葉、そして成長点に霧吹きでミストして、栄養補給します。ビカクシダは湿度をある程度好む植物なので、定期的な霧吹きでの保湿と並行して、葉面散布をしてあげることで成長点の活性や葉の展開を促すことができます。

液体肥料は葉面散布用として成分設計された「水でうすめてミストする液肥」「水でうすめてミストするサプリ」がおすすめです。希釈のミスが少なく、初心者の方でも簡単に葉面散布をすることができます。

葉面散布について詳しくはこちら
》肥料の葉面散布とは?メリットと効果をアップさせるポイント

ビカクシダ(コウモリラン)の板付け・板替えのタイミング

ビカクシダ(コウモリラン)の板付け・板替えのタイミング

板付けや板替え、水苔の交換を行うベストな時期は、春(4~6月)の成長期です。この時期は気温が安定し、植物の成長が活発になるため、板付け後の定着がスムーズに進みます。具体的には、気温が15℃以上になり、夜間の冷え込みが少ない時期を選ぶとよいでしょう。春以外にも秋(9~10月)も板付けは行えますが、11月以降気温が下がってくると株の動きが悪くなり、活着がスムーズにいかない場合があるので、リスクが少ない春の板付けをおすすめします。板付けのタイミングを誤ると、ビカクシダがストレスを感じ、成長が遅れたり葉が落ちたりする場合があります。特に冬期の低温期は避けるようにしましょう。

用語解説

  • 板付け:ビカクシダの苗をコルク板や木の板に着生させるため、苗を水苔で覆いドーム状にして栽培する方法。
  • 板替え:ある程度大きくなったビカクシダを別の板に付け替えること。水苔が傷んでいる場合は新しいものに交換してあげましょう。
  • コケ増し:古い水苔の上から新しい水苔を追加する、または板から外して古い水苔を覆うように新しい水苔を追加する方法。


水苔を板から外したり、水苔を崩して仕立て直したりする場合は、春の成長期がおすすめです。一方で、今使用している水苔の上から新たに水苔を追加する「コケ増し」の場合は、基本的にどの季節でも行うことができるので、水苔の形を補強・矯正したり、仕立て直したりする場合に適宜行うようにしましょう。
ビカクシダをコルクや木の板に板付けしている場合、以下を目安に交換などの作業を行いましょう。

〇板付けしてから3年以上、コケ増しや水苔の交換をしていない場合
 水苔に根が回りきってしまい、根詰まりを起こしている可能性があります。根詰まりしていると成長点から新しい胞子葉の展開が遅くなり、展開しても弱々しい葉しか出てこなくなります。板替えやコケ増しを行い、水苔が傷んでいる場合は新しいものに交換しましょう。

〇板付けしている板の外周に、新しい貯水葉または古い貯水葉が到達している場合
 ビカクシダの新しい貯水葉は、古い貯水葉よりも一回り大きく展開する性質があります。すでに貯水葉が板の外周に到達している場合は、それ以上貯水葉が大きく展開できないため、水苔を新たに追加してコケの容量を増やすか、一回り大きい板に付け替えましょう。

〇新しい貯水葉が水苔よりも大きく展開し、たわんで余っている場合
 
リドレイなど大きく水苔を巻き込む貯水葉の種類によく見られる状態です。水苔の量が少ない場合に起こりやすいので、コケ増しで水苔を詰めて形を整えてあげるか、板替えで一回り大きい板に付け替えてあげると貯水葉が綺麗に展開します。

〇水苔にカビが発生して、傷んでしまっている場合
 水苔にカビが発生して傷んでいる場合は、速やかに板替え、水苔の交換をしましょう。この状態を放置すると、ビカクシダの健康状態が悪化し、成長点が腐ってしまう場合があります。古い水苔を全て取り除き、新しい水苔を使用しましょう。板は消毒、または新しい板を使用して板付けします。

板付け(板替え)の方法

板付け(板替え)の方法

準備
購入してきた新しい水苔はカチカチに固く乾燥しているブロック状になっている場合が多いです。そのような場合は、使用する前に水分を含ませて柔らかい状態に戻しておきましょう。乾燥している水苔をビニール袋に入れ、少量の水を含ませて(12L/150gのミズゴケに対し500mlの水、40L/500gの水苔に対し2Lの水)、袋を閉じて日当たりの良い場所に半日~1日置き、水分を吸収させて柔らかい状態に戻しましょう。

方法

  1. 必要な材料を用意します。(ビカクシダ、水苔、バークチップ、釣り糸3~4号、コルク板や木の板)
  2. (水分を吸わせて柔らかくした)水苔をほぐして使用する分を取り出します。
  3. 板にバークチップを少量敷いて、上から少量水苔を敷き、ビカクシダをその上に置きます。
  4. 釣り糸でビカクシダを板に固定します。固定する際に成長点を糸で押さえつけたり傷つけたりしないように注意します。
  5. 水苔全体に水が浸透するように水やりをして、直射日光を避けた、風通しの良い置き場で管理します。

苔玉仕立ての方法

苔玉仕立ての方法

ビカクシダの苗、湿った水苔、細い針金やナイロン糸、吊るすためのフックを用意します。苗の根を軽く水で湿らせ、根を傷つけないよう注意しながら古い土や苔を落としてください。次に、湿らせた水苔を手に取り、ビカクシダの根を包み込むようにして丸い形を作ります。この際、ビカクシダの根がしっかりと水苔に包まれていることを確認しましょう。

水苔の形が整ったら、針金やナイロン糸を使ってしっかりと固定します。糸で全体を包むように巻いていくと、形が崩れにくくなります。最後に、糸や針金の端をまとめて結び、フックにかける準備をします。吊るす場所は風通しが良く、直射日光が当たらない場所が最適です。

ビカクシダ(コウモリラン)の増やし方と育て方

子株で増やす

子株で増やす

ビカクシダはある程度成長してくると自身のクローンとなる子株を株の周りに吹かせる性質があります。この吹いた子株は親株から外し、株分けして育てることができます。子株は親株の遺伝子を受け継ぐので、将来的に成長すると親株に近い姿形になります。販売店やネットでは子株を「OC株(オリジナルクローン株)」や「PUP(Puppy=子株の略)」などタグに書かれて販売されています。

  1. 子株から胞子葉が2~3枚ほど出ている、ある程度成長してきた子株を選びます。
  2. カッターナイフやハサミで子株の貯水葉の周りに切れ込みを入れ、親株から外し株分けしていきます。
  3. 外した子株を柔らかい水苔にまいて板に付けるか、ポットにいれて管理します。
  4. 子株を外した親株の箇所に、水苔を追加して釣り糸などを使用し、固定させ形を補修します。

 

胞子で増やす

胞子で増やす

子株を外して増やす方法以外にも、ビカクシダは胞子で増やすことができます。胞子で栽培した株は「Spore(スポア)株」と呼ばれ、親株の遺伝子を受け継いではいますが、異なる形質が現れる可能性が高くなります。独自の変異や特徴を持った個体を選別できたり、違う品種を交配して新しい特徴を持った個体を生み出せたりなど、独自の面白さや魅力があります。胞子を利用した増やし方は時間と手間がかかり、栽培するスペースや準備も必要なので、じっくりと育成を楽しみたい方におすすめです。

  1. 成熟した胞子葉から胞子を採取します。胞子葉の裏面にある茶色や黒色の胞子嚢が開き始めたら、白い紙やトレーの上で軽く叩き胞子を採取するか、胞子のついた葉先をカットして、ナイフなどで葉先の胞子をこすり取り、茶漉しなどで振るって胞子を採取します。
  2. アルコールスプレーや熱湯で除菌し乾かしたタッパーなどの容器に、培地を敷きます。培地は市販の種まき用の固形培地や、戻した水苔を使用すると良いでしょう。
  3. 培地に水を足して水を吸わせ、培地に胞子を撒く準備を整えます。
  4. 胞子を筆で胞子を少量付着させ、培地の上に胞子の付いた筆をトントンと叩きながら、少しずつ胞子をまいていきます。
  5. 胞子を撒いた後は、湿度を保つためタッパーにラップをかけ、タッパー内の培地に少量水を入れて腰水の状態にします。(栽培温度:25~30℃ 栽培湿度:60~70%)その後、1週間に1~2回ほど霧吹きで培地を保湿していきます。カビを防止するために植物用の殺菌剤を使用するのもおすすめです。
  6. 直射日光を避けた明るい場所で管理が好ましいため、室内の場合は植物用LEDを照射して育てます。(1日8~10時間照射)
  7. 子株の前身となる前葉体の発芽には数週間ほどかかり、前葉体で受精して胞子体が形成されます。胞子体が形成されるには環境や品種、個体差があり数ヶ月~半年以上、胞子体から胞子葉が出て少し大きくなるまでに1年以上かかります。ある程度大きくなるまで栽培し、幼苗になったところでポットなどに移して育てましょう。

よくある害虫と対策方法

ビカクシダに発生しやすい害虫は、カイガラムシ、ハダニです。これらの害虫は、ビカクシダの葉や新芽を食害し、植物の健康を損なう可能性があります。

カイガラムシ:
カイガラムシは、葉や茎に固着して栄養を奪います。これらは手で取り除くのが効果的ですが、数が多い場合や取りにくい場合は、綿棒にアルコールを染み込ませて個々の虫を拭き取る方法が有効です。また市販の植物用の殺虫剤を使用するのも良いでしょう。

ハダニ:
ハダニは乾燥した環境で繁殖しやすく、葉に小さな斑点を作ります。予防には、湿度を高めることが重要です。葉を霧吹きで湿らせ、周囲の湿度を保つように心掛けましょう。既に発生している場合は、植物を水で洗い流すか、専用の殺虫剤スプレーを使用して駆除します。

この他にも水苔や土などの培地にコバエやトビムシ、アリなど小さな虫が発生する場合があるので、日々観察するようにしましょう。

育て方のコツをおさえて、美しいビカクシダ(コウモリラン)に

育て方のコツをおさえて、美しいビカクシダ(コウモリラン)に

ビカクシダはその特徴的で立体的な姿で見る人を魅了する観葉植物です。ユニークな形状と特性を持つビカクシダは、吊るし方や壁へのかけ方をアレンジすることで、アート作品のように育てることができます。水やりや肥料の与え方、板替えなど、育て方のコツをおさえて、自分だけのビカクシダを育ててみましょう。

ビカクシダにおすすめの肥料はこちら

 

 

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