2024.10.16
初心者のためのポインセチアの育て方|美しい姿を長持ちさせる方法も
赤と緑のコントラストが美しい「ポインセチア」。クリスマスカラーを連想させるため、冬の時期に大変人気がある鑑賞用植物です。そんなポインセチアの育て方を、初心者の方でも分かりやすいように詳しくご紹介いたします。育て方のポイントを押さえて、美しい姿を長く楽しみましょう。
ポインセチアの基本情報

ポインセチアとは?
ポインセチアは、クリスマスシーズンに人気のある観賞植物です。その特徴的な赤い部分は「花」と誤解されやすいですが、実際には「苞(ほう)」と呼ばれる特殊な葉で、実際の花は苞の中心にある「小さな黄色い部分」です。メキシコおよび中央アメリカが原産地で、自然界では高さが3m以上に達することもあります。また冬場にお店に鉢植えなどで並ぶ植物なので寒さに強いと思われがちですが、実際は寒さに弱い植物です。鮮やかに色づく寒い季節はポインセチアにとって休眠期にあたり、春から秋にかけて成長期を迎える植物です。ポインセチアの栽培は初心者にとってはやや難しいと感じることもあるかもしれませんが、基本的なお手入れ方法や育て方のコツを押さえれば美しく色付かせることができます。
基本的な特徴と種類

ポインセチアは品種改良が進んでおり、色、模様、葉の形状まで実に様々です。その数は1,000~1,500種類あると言われています。また、耐寒性を強めた品種も誕生しており、育てやすさも改善されています。
有名な品種として、赤系の「イタリアンレッド」、ピンク系の「プリンセチア」、白系の「ホワイトポインセチア」、模様が入った「ポインセチア・プリメーロ・ジングルベル」、カールした葉がバラのように見える「ウィンターローズ」などが挙げられます。
ポインセチアに適した環境

日当たりと置き場所
ポインセチアは明るい日当たりを好む植物です。春と秋は屋外の日当たりが良く、雨が当たらない場所に置くと良いでしょう。室内の場合は、しっかりと日の当たる窓辺に置くのがおすすめです。ただし、夏の強い日差しに当たると、ポインセチアの葉は縮れたり、変色したりする「葉焼け」を起こしてしまう可能性があります。夏(7月~9月)の管理は、屋外の場合は涼しい日陰に避難させるか、室内の場合は、カーテン越しの柔らかい光が当たる環境にしてあげましょう。
また室内で管理する場合、サーキュレーターや小型の扇風機などで空気を循環させて風通しを良くしてあげると良いでしょう。
温度
ポインセチアは適温で育てることで美しい葉色を保つことができます。適温は20〜30℃が望ましく、最低温度が15℃以上あるとポインセチアにとって活動しやすい温度になります。ポインセチアは秋から冬にかけてお店に並び始める植物なので、寒さに強い植物と思われがちですが、実は寒さにとても弱い植物で、冬の時期はポインセチアにとって休眠期になります。10℃以下で落葉してしまうため、冬場は窓際の冷気やエアコンの風が直接当たらないように注意が必要です。温度変化が激しい場所も避けましょう。
ポインセチアは温度が急激に変化すると葉が落ちやすくなるため、特に冬場の持ち運びや室内の配置には注意します。購入後に自宅に持ち帰る際には、新聞紙や布で包んで寒さから守ると良いでしょう。ポインセチアの根が健全に発育するためには、適度な土壌温度も必要です。極端に冷たい土壌は根の活動を鈍らせ、成長を妨げることがあります。適切な温度管理を行い、特に冬季には室温を適切に保つことが大切です。
土の状態
ポインセチアは排水性が良く、かつ適度な保水性を持つ土を好みます。過度に湿った土は根腐れの原因になるので注意しましょう。
理想的な土壌環境を作るために、赤玉土、鹿沼土、腐葉土を混ぜたものか、市販の培養土や使いまわしの土に腐植資材リフカを混ぜたものを使用すると良いでしょう。リフカに含まれる天然の腐植が土壌の通気性と保水性、保肥力を向上させ、根を健全な状態に保つことができます。
水やりのタイミングと頻度

ポインセチアは高温と乾燥を好む一方、寒さと過湿に弱い植物です。水やりのタイミングは、基本的に土の表面が乾いたことを確認し、しっかり乾燥させたうえで水を与えましょう。特に室内で育てる場合は空気の流れが少ないことから、鉢の中の土が乾きにくくなる場合があります。サーキュレーターなどで空気を循環させ、乾燥した環境を作る事も意識しながら水を与えましょう。
11月~3月 控えめに水やり、しっかり乾燥:
ポインセチアをお店で見かけるようになる季節ですが、ポインセチアにとっては休眠期であり、株の活動が低下して根が水を吸う力も弱い季節になります。この時期の水やりは、土が乾いたことを確認した後、3~4日後に土の表面が湿る程度(鉢底から水が染み出ないように)、控えめに水を与えましょう。また、冷たすぎる水はポインセチアの根にダメージを与えてしまうので、15℃ほどの水温で与えましょう。
4月~10月 活動期はしっかり水やり:
ポインセチアにとって活動期になるので、根からの水の吸い上げも活発になります。活動の開始を確認するには、新芽や葉の展開を確認しましょう。水は土壌表面がしっかり乾燥したことを確認して、鉢底から水がしたたり落ちる程度しっかりと与えます。鉢底に水が溜まらないように注意し、受け皿を使用している場合は溜まった水を必ず捨てるようにしましょう。これにより、根腐れを防ぐことができます。
ポインセチアへの肥料の与え方
ポインセチアに適した肥料の成分

肥料の主成分である窒素(N)は葉の成長を促進し、リン(P)は根の発達を助け、カリウム(K)は全体的な植物の健康をサポートします。ポインセチアの葉や苞(ほう)を大きく美しく育てるためには、窒素、リン、カリウムのバランスが良い、もしくは窒素が少し高めの肥料が適しています。またマグネシウム(Mg)は葉緑素の形成をサポートし、光合成を促進させる効果があります。
肥料の種類
肥料にはゆっくりと効く固形肥料と、速効性の液体肥料の2種類があり、それぞれをポインセチアの成長段階に合わせて与えると効果的です。
ゆっくりとした肥効とバランスの良い成分+不足しがちな微量要素がセットになった肥料
花の育成に特化
ガーデンフラワー用肥料セット
ガーデンフラワー用肥料セットは、草花・球根・花木の生育に欠かせない成分を組み合わせた肥料セットです。有機配合なので、分解者である微生物を豊かにして土壌を改善。お花を生育すると同時に、育ちやすい土壌環境へと整えます。ミネラル材を併用するので、微量要素の効果で美しく大きな花に。有機特有の臭いが少なく、ご近所との距離が近いお庭やベランダでも安心してご使用いただけます。
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プッシュタイプで計量がとっても簡単。しっかり良く効く液体肥料
ワンプッシュで簡単計量
水でうすめる有機液肥
水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄とアミノ酸を配合しているので、光合成をサポートしながら丈夫に育てます。
水でうすめる有機液肥
肥料の与え方と頻度

11月~3月:
この時期はポインセチアにとって休眠期にあたります。株が春に向けて体力を蓄える期間になるので、根の活動が低下し、水や肥料の吸収も低下します。基本的に液体肥料・固形肥料含めて肥料を与えることを控えますが、定期的にうすめた液肥を葉面散布することで、株を弱らせることなく健康な状態で春を迎えさせることができます。
4月~10月:
成長が活発になる生育期です。この時期はポインセチアが旺盛に成長するので、固形肥料を1~2ヶ月に1回、もしくは液体肥料を1~2週間に1回のペースで与えます。生育が物足りない場合は様子を見ながら固形肥料と液体肥料を併用しましょう。
葉を美しく育てるための「葉面散布」

葉や苞(ほう)を美しく育てるために効果的な肥料の与え方として、「葉面散布」もおすすめです。「葉面散布」とは、液体の肥料をうすめて葉水のように葉にミストする方法を指します。葉に直接肥料成分を届けられるので、速効性があり、根が弱っている時や根の活動が低下している休眠期でも施せることがポイントです。鉄やマンガンなどの微量要素が入った液体肥料であれば、光合成のサポートをすることも可能です。
「葉面散布」について詳しくはこちら
《葉面散布の方法》
葉は「気孔」を通して肥料成分を取り込むので、「気孔」が多く存在する葉の裏側にもしっかりミストしましょう。
室内の環境でも光合成の活性化をフォロー
ポインセチアの光合成をサポート
水でうすめてミストするサプリ
水でうすめてミストするサプリ
葉水と一緒に肥料を与えられる、「水でうすめてミストするサプリ」です。
マグネシウムと微量要素を葉に直接与えて、光合成をサポートします。
N、P、Kを含まないため通常の肥料と併用が可能です。
ポインセチアの植え替え方法

ポインセチアは成長すると根が鉢の中でぎっしりと詰まり、適切に成長できなくなるため、1~2年に1回の植え替えが必要です。
植え替えのタイミング
植え替えのタイミングは、成長期が始まる春先(3月~5月)が最適です。成長期に入る前に植え替えを行うことで、植え替えによる根のダメージからの回復が早く、活動期中に新しい根が順調に伸び、植物全体の健康を維持できます。
植え替えの手順
鉢と土を用意します。鉢は株のバランスを見ながら、一回り大きいものにするか検討しましょう。大きくしたくない場合や株がそれほど大きくない場合は、植え替え前と同じ鉢を使用しても問題ありません。使用する土は、排水性が良く、ある程度保水性もある、有機質などの栄養豊富な土を使用することがおすすめです。
まず、鉢からポインセチアを慎重に取り出します。この際、鉢の周りを軽く叩きながら抜いてあげると良いでしょう。次に根を傷つけないように注意しながら、古い土を軽く落とします。根が絡み合っている場合は、手で軽くほぐしましょう。また触って簡単に取れる枯れた根は取り除いておきます。
新しい鉢の底に鉢底ネットと鉢底石1㎝ほど敷き、その上に少量の新しい土を入れます。ポインセチアを鉢の中央に置き、周囲に土を詰めていきます。この時、株の根元が鉢の縁より少し下になるように高さを調整しましょう。植え替え後に「切り戻し」を行うと、株自体がダメージを受けているので水の吸収が落ちてしまいます。「切り戻し」を行った後の水やりは、鉢植えの土を少し湿らせる程度にして控えめに与えましょう。
植え替え後の置き場所は、直射日光を避けた明るい場所に置きます。水やりは鉢植えの土の表面がしっかり乾いたのを確認してから与えます。また成長期になっているとはいえ、植え替え後は根がダメージを受けているため、1~2週間は肥料を控えましょう。
ポインセチアの切り戻し(剪定)方法

ポインセチアは多年草の草花のような見た目をしていますが、常緑性の低木になります。そのため、ポインセチアの健康的な成長ときれいな形を維持するためには、庭木と同じような切り戻し(剪定)を行う事が大切です。適切な切り戻しを行うことで、葉と苞が旺盛に生育し、健康的で密度が高い株に成長させることができます。
切り戻し(剪定)タイミング
最適な時期は、植え替えと同じタイミングの春(3月~5月)にかけてです。剪定する際は、清潔な剪定ばさみを使用し、病気の蔓延を防ぐために消毒しておきましょう。
切り戻し(剪定)の方法
まず、枯れた葉や枝を取り除きます。次に、株元から2~3節目の上を切り、株を全体的にコンパクトに切り戻します。混み合うように内側に伸びている枝や、下向きに伸びている枝などは成長しても不要になるので枝の根元から切ってしまいましょう。
切り戻し(剪定)後の水やり
切り戻しを行うと水の吸収が落ちるので、この状態で通常のしっかりした水やりをすると株の水の吸い上げる力も弱く、鉢の中の土の水分が乾燥するのに時間が掛かり、根腐れしてしまう可能性が高くなります。切り戻しを行った後の水やりは、鉢植えの土を少し湿らせる程度にして控えめに与えましょう。また切り戻し後は、直射日光を避け、明るい日陰で新芽が出てくるまで管理しましょう。
ポインセチアの摘心
切り戻し(剪定)後に伸びてきた枝を摘心(枝の頂点=頂芽を切除すること)してあげると、さらにその枝から脇芽が増え、結果的に枝数と葉数を増やすことができます。
切り戻し後、少し枝が伸びてきた7月くらいまでに摘心をしておくことをおすすめします。
ポインセチアを増やす方法(挿し木)
ポインセチアを増やすための最も一般的な方法は挿し木です。挿し木は、親株から元気な枝を切って、枝から発根させる方法で、初心者でも比較的簡単に行うことができます。
挿し木を行うのに適した時期
挿し木の適切な時期としては、植え替えや剪定と同じ、春の3月~5月がおすすめです。剪定で切った比較的元気な枝を使用することもできます。
挿し木の方法

1.まず、ポインセチアから新芽が付いた元気な枝を10㎝ほど切り取ります。この際、清潔な剪定ばさみを使用し、切り口を斜めにカットしましょう。切り取った枝の下部の葉を取り除き、上部に2~3枚の葉を残します。
2.次に切った枝の切り口を水で洗い流し、1時間ほど水に切り口を浸け、切り口から水を吸わせます。切り口からは白い樹液が出るので固まる前にきれいに洗い流しましょう。
3.挿し木を挿す土をあらかじめ水で湿らせ、植え付けます。土は水はけの良いものを選び、あまり深く植えすぎないよう注意してください。発根促進剤を切り口に塗布しておくと発根しやすくなります。
4.植えた後は挿し木を挿した鉢を、直射日光が当たらない明るめの日陰に置きます。挿し木が発根するまで3~4週間ほどかかります。
ポインセチアを色付かせる方法と美しさを長持ちさせるコツ

色付く時期と「苞(ほう)」の特徴
ポインセチアの色付く部分である「苞(ほう)※」は日照時間の変化に敏感で、昼の長さが短くなると色付き始めます。特に「夜間の暗闇」が重要で、光が漏れると色づきが遅れることがあります。したがって、ポインセチアを育てる際には、夜間の光を遮断することが大切です。
※色付く部分は「花」ではなく「苞(ほう)」と呼ばれる特殊な「葉」です
ポンセチアを色付かせる方法(短日処理)
短日処理の開始時期:9月中旬~10月中旬

ポインセチアを1日あたり約12時間、光が当たらない場所に置くか覆いをかけて遮光します。
ポインセチアが色付くためにはこの「1日あたり約12時間の光が当たらない期間」が1~2ヶ月必要です。12月のクリスマスまでに色付かせたい場合は、10月から遮光を開始しましょう。具体的には、夕方17時~朝7時頃まで、ポインセチアの鉢ごと段ボールを被せて光を完全に遮断し、株に光を感じさせない暗闇の状況を用意します。
冬の管理ポイント
ポインセチアは寒さに弱いため、気温が15℃を下回る前に室内に入れましょう。夜間の温度低下に気を付け、室内でもリビングなどの場所で15℃以上を確保すると良いでしょう。冬は日照時間が短くなるため、できるだけ明るい場所に置いて日光を十分に浴びさせるとより健康に育ちます。
暖房器具を使用すると室内が乾燥しがちなので、加湿器を使う、もしくは葉に霧吹きで水を与えることで湿度を保つようにしましょう。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと水を与え、余分な水は鉢底から排出させるようにします。また、冬の間はポインセチアの成長が緩やかになるため、肥料は基本的に控えます。
夏の管理ポイント
ポインセチアは寒い季節の植物という印象がありますが、秋から冬に美しい姿を楽しむためにも、夏の管理も重要になります。
まず、夏の高温期には直射日光を避けることが大切です。ポインセチアは日当たりを好みますが、夏場の直射日光に弱く、葉焼けを起こすことがあります。直射日光が当たらない明るい場所に移動させるか、遮光カーテンを使用するのが理想的です。
水やりについては、夏の暑さで土が乾きやすくなるため、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。水が溜まると根腐れの原因となり、ポインセチアが弱ってしまうため、鉢底には水が溜まらないように注意しましょう。
ポインセチアはある程度乾燥した環境を好みますが、乾燥によって葉にハダニやカイガラムシなどの害虫が付きやすい環境になってしまうことがあります。葉に定期的に霧吹きで水を吹きかけてあげると良いでしょう。またエアコンの風が直接当たる場所は避け、風通しの良い場所に置くことで、病害虫の発生を防ぐことができます。
夏場はポインセチアの成長期でもあります。この時期にしっかり肥料を与えることで、ポインセチアの株が充実して、秋から冬にかけて美しい姿を見せてくれます。
ただし、肥料の濃度が高すぎると根を傷めることがあるので、ラベルの指示に従って適切な濃度で使用することが大切です。
ポインセチアの育て方Q&A

ポインセチアの育て方やお手入れの方法ついての疑問を解消するためのQ&Aセクションです。以下に、よくある質問とその回答をまとめました。
ポインセチアは室内と外のどちらで育てるのが適している?
ポインセチアは一般的に室内で育てることが推奨されます。特に冬の寒さに弱いため、低温が続く地域では室内での管理が重要です。ただし、春から秋にかけては、適温の屋外で育てることも可能です。
ポインセチアが落葉する原因は?
寒さによる温度変化、冷暖房による葉の乾燥、水の与えすぎによる根腐れ、などが主にポインセチアの葉が落ちる原因になります。基本落葉樹なので10℃以下になると葉が落葉しはじめます。
ポインセチアの花が咲かなかったのはなぜ?
ポインセチアの花は中心の黄色い部分で、赤やピンクなどに色付く部分は「苞(ほう)」と呼ばれる葉の一種です。短日植物のポインセチアは、秋や冬のように日光が当たらない時間が長い日が続くと色付くという特徴があります。もし短日処理をしても色付かなかった場合は、完全に遮光が出来ておらず、夜間に光が当たってしまった可能性があります。
》人工的に短日条件をつくり、ポインセチアを色付かせる「短日処理」の方法はこちら
育て方のコツを押さえて美しいポインセチアを長く楽しもう

ポインセチアはその美しい姿で冬を彩る植物です。品種改良が進んだことで、様々な色や模様が誕生しており、育てやすさも改善されてきました。初心者の方も、お手入れの方法や育て方のコツを押さえて、冬の室内にポインセチアの華やかさを取り入れてみませんか?