2025.07.14
肥料焼けとは?起こさないための対策とおすすめの肥料
肥料焼けは、植物に肥料を与えすぎた際に起きてしまう症状で、植物の生育を阻害し、最悪の場合植物が枯れるトラブルの1つです。この記事では、肥料焼けの仕組みと症状、原因を解説し、具体的な対処方法を解説します。また、植物に栄養を与えたくてもどのくらいの量をあげたらよいか分からない、大切な植物を健康的に育てたい、美味しい野菜を収穫したい、そんな方におすすめする「肥料焼けが起こりにくい肥料」をご紹介します。
肥料焼けとは?

肥料焼けは、肥料の与えすぎ(過剰施肥)によって、高濃度の肥料に植物の根が触れることで、浸透圧の原理から触れた部分が脱水し、萎れや壊死する症状のことを指します。この生理障害は根の機能を損なわせて、最悪の場合植物が枯死します。
なぜ植物に肥料焼けが起きてしまう?その仕組みは?

肥料成分が過剰になることで発生する肥料焼けの仕組みについて解説します。
- 肥料成分が土中で過剰になる
- 植物体内の溶液濃度より、土壌水分中の肥料濃度が高まる
- 本来、土中の水が根から植物体内に入ってくるはずが、逆に植物体内の水が土中にどんどん奪われてしまう
- 根から水が抜けて脱水症状になる
- 結果、根が傷んだり、葉が変色したり、最悪の場合植物が枯れる
どんな症状?
肥料焼けは根が脱水症状になることで最悪の場合植物が枯れてしまう生理障害です。肥料を与えた後に、以下のような症状やサインが見られた場合は肥料焼けを疑い、対処を検討しましょう。
- 葉の変色 :成長点に近い箇所の葉が、緑→濃い緑→茶色に変化して枯れる
- 葉の萎れ :全体的に葉先から萎れてくる
- 根の変色 :新しい根が褐色に変色して枯れる
- 発芽不良 :種が発芽しない、または発芽しても根が枯れる
-
成長不良 :植物全体の成長が遅れる、または生育が悪くなり枯れる
発生リスクがある環境条件

肥料焼けは、肥料過剰や液体肥料の希釈ミス(濃度が高すぎる)が原因で発生する場合が多くあります。しかし、以下のような環境条件が加わる事でさらに肥料焼けが発生するリスクが高まります。
・気温が高く乾燥している環境
土壌の水分が蒸発しやすく、肥料の濃度がさらに高まるため、肥料焼けの脱水症状が加速し枯れるリスクが高まります。
・砂質土壌
粘土質の土壌は、土壌の緩衝能(CEC)が高いため、EC※は上昇しにくく、肥料焼けしにくい傾向にあります。逆に、砂質土壌などCECが低い土壌では、ECが上昇しやすく肥料焼けしやすくなります。そのため砂質土壌では、過剰施肥により注意する必要があります。
※電気伝導度(Electrical Conductivity):土壌中の塩類濃度を表す指標
・土の量が少ない
土の量が少ない場合、同じ量の肥料でもその占める割合が高まるため、イオン濃度が上がりやすくなります。鉢植えやコンテナ栽培では、土の量(容量)が限られているため、肥料焼けが発生しやすい環境になります。特に小さい苗を小型ポットで育成する場合、用土も少なくなり、かつ保有できる水分が少なくなることで乾燥しやすい状況になることから、肥料焼けが発生しやすくなります。
・肥料の窒素成分が高い
肥料の窒素成分値が高い場合には、土壌水分中の肥料濃度も上昇しやすい傾向にあります。例えば窒素成分が8%の肥料と比較して14%の肥料は肥料焼けのリスクが高まります。※尿素を原料として使用している肥料は、濃度が上がりにくい傾向があります
・肥料が直接根や葉に触れる
植物の根や葉などに肥料が直接触れる場合にも、肥料焼けのリスクが高まります。肥料は株元から10~15cm離れた箇所に、植物の葉に乗らないよう、均一にまくようにしましょう。特に芝生の場合、肥料を与えた後は水やりを行い、可能な限り肥料が葉に乗らないようにすることが肥料焼け防止のポイントです。
・植物の種類や成長度合い
特定の植物や成長初期の段階では、肥料に対する感受性が高く、肥料の要求量も少ないため、少量でも過剰になりやすい場合があるので注意しましょう。
肥料焼けした場合の対処法

肥料焼けと思われる症状がみられた場合、早めに以下のような対処を行い、可能な限り障害を取り除きましょう。
- 多めに潅水(水やり)をして土壌をよく洗い流し肥料成分を薄める
- 固形肥料が残っている場合は取り除く
- 赤玉土など肥料成分が少ない土を混ぜ、かさ増しする
- 新しい土に入れ替える(植え替える)
- しばらくは肥料を与えずに水だけ与える
上記対処を行い、株の萎れや葉先の枯れが進行していないか、新しい葉に肥料焼けの症状がみられないか確認をしましょう。
新しい根が動き始めると、肥料焼けの症状が改善してきます。葉が回復してきたら葉面散布で葉から栄養素を補給させることをおすすめします。
肥料焼けを起こさないための予防策

肥料は適切な量と頻度で
肥料焼けを発生させないための対処として、適切な施肥量と頻度を守ることが重要です。商品に記載された使用量と頻度の確認をしましょう。また以下のような対処方法も参考にしてみてください。
・固形肥料を与える場合:
元肥:苗や株の植え付け前に与える肥料は、与える面積に対して均一に散布し、よく土と混和させるようにしましょう。家庭菜園で余裕がある場合、苗の植え付けの1~2週間前に元肥を混ぜておくと、土に肥料が馴染み、より肥料焼けのリスクが軽減されます。
追肥:株元から10~15㎝ほど離して、まくようにしましょう。根には直接触れないように注意します。追肥後、表土と肥料を軽く混和することで土に肥料が馴染み、肥料効果が高まります。
・液体肥料を与える場合:
液体肥料の場合は、希釈濃度と頻度を守って与えましょう。希釈倍率は商品のラベルなどに記載されているため、確認するようにしましょう。与える頻度は季節や植物の種類によって異なるため、肥料の与え方も併せて確認しておきましょう。
正確な肥料の量を与える方法
野菜や果樹など花を咲かせて実がなる植物の場合、観葉植物や多肉植物に比べると肥料を与える量と頻度が高くなる場合があります。また野菜や果樹の場合、収穫量や食味の向上を目指すため、肥料は必要不可欠な存在です。
植物それぞれに与える肥料の量とタイミングを知りたいという方は、下記のツールや育て方の記事をご確認ください。
野菜への肥料の適量を計算するお助けツール
家庭菜園で人気のトマト、ナス、イチゴなど、40種類以上の野菜に対応した肥料計算ツールです。
観葉植物や花、果樹やハーブの適切な肥料の与え方を知りたい
肥料のパッケージに表記されている施肥方法では、各植物にとって情報が不十分な場合があります。植物の種類ごとに肥料の与え方を調べる場合は、「植物の育て方」よりご確認ください。
肥料を与えるタイミングに注意
夏の昼間に肥料を与えると、高温と乾燥で肥料焼けのリスクが上昇します。気温が高い夏には朝、もしくは夕方の涼しい時間帯に与えるようにしましょう。また、冬は一般的に植物の成長が鈍化するため、肥料の吸収量が減少します。気温が低い冬は肥料を控えるようにしましょう。
初心者でも安心!自然暮らしのおすすめ肥料
ワンプッシュでジョウロに簡単計量「水でうすめる有機液肥」
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水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄を配合しているので、光合成をサポートしながら丈夫に育てます。
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植物の光合成に大切な成分「鉄」を、吸収しやすい「キレート鉄」の状態で与えることができるので、光合成を活性化して丈夫な植物へと育てます。
一定量の肥料を必要とするトマト、ナス、キュウリなどの野菜、果樹や花はもちろんのこと、観葉植物や多肉植物、アガベやビカクシダまで、どんな植物にも適量を与えやすく、過剰になりにくい肥料です。
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野菜の肥料セットは、肥料メーカーの野菜栽培のプロが監修した「肥料シミュレーター」をご使用いただけます。それぞれの野菜向けに肥料の適量を自動計算し、肥料焼けのリスクを防ぎながら、野菜が最も肥料を必要とする量とタイミングを与えることができ、だれでも美味しい野菜がたくさん収穫できます。
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肥料焼けの仕組みと対処を理解して、健康な植物を育てよう
肥料は多ければ多いほど良いわけではなく、適量を守ることで植物の健康を維持することができます。肥料の与える量と頻度を守り、植物の反応を観察しながら調整しましょう。
肥料焼けが発生してしまった場合は、なぜ発生してしまったのか、その仕組みを理解して対策することが健康的な植物を育てるうえで非常に重要です。正しい知識と適切な肥料選びで、園芸を楽しみましょう。

自然暮らし編集部
自然暮らし編集部は、植物や肥料のプロのライターチームです。
植物・野菜・肥料の使い方について、専門家からの知識やノウハウを発信していきます。
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