2024.10.16
効果的な玉ねぎへの肥料の使い方とタイミング
美味しくて大きな玉ねぎをたくさん収穫するためにも、肥料は欠かせない存在です。しかし一方で量が多すぎたり与えるタイミングを逃したりすると、玉ねぎの品質が低下してしまう恐れがあります。ここでは、正しい肥料の与え方やタイミングをご紹介いたします。
玉ねぎ栽培における肥料の重要性

玉ねぎは一般的に秋に植え付けられて冬を越し、春になって日長が長くなることで肥大のスイッチが入り、気温が15~20℃で肥大が旺盛に進みます。この間に肥料を適切な量とタイミングで与えることによって、玉がしっかりと肥大し、中身が詰まっていて貯蔵性※₁が高い玉ねぎを収穫することができます。
もし与えた肥料が少なかった、または必要なタイミングで肥料を与えられなかった場合、トウ立ち※₂が発生し、さらに収穫できたとしても甘みが少なく美味しくない玉ねぎになってしまいます。逆に過剰な量を与えてしまうと球が軟弱化してしまい、貯蔵中に腐敗しやすくなります。
※₁貯蔵性:食味などが低下しないまま、長期間貯蔵できること
※₂トウ立ち:春に花芽がついて花が咲いてしまうことを「トウ立ち」と呼びます。タマネギがトウ立ちすると、栄養が花芽の方に向かってしまうため玉部分の生育が悪くなり、さらに硬い芯のようなものが玉の内部にできてしまうため、食味も悪くなります。
おすすめの有機化成肥料セット

オンラインショップでの購入はこちら
有機ダブルセットは、有機を配合しているので、分解者である微生物を豊かにして土壌を改善。野菜の生育に役立つと同時に、育ちやすい土壌環境へと整えます。また、有機特有の臭いが少なく、ご近所との距離が近いお庭やベランダでも安心してご使用いただけます。
玉ねぎに適した肥料の種類
玉ねぎに適した肥料の成分

肥料には窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)のほか、光合成に欠かせないマグネシウムや微量要素が入ったものがあります。窒素は葉の成長を促進し、リンは根の発達を助け、カリウムは全体的な植物の健康をサポートします。またマグネシウム(Mg)や微量要素は葉緑素の形成をサポートし、光合成を促進させる効果があります。
玉ねぎの場合、この窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)のバランスが良い、もしくはリン酸とカリウムが高めの肥料がおすすめです。また、光合成のサポートをするマグネシウムを配合した肥料もおすすめです。
長期間効く、緩効性の肥料
玉ねぎは秋に苗を植え付けて翌年の初夏に収穫ができるという、栽培期間が非常に長い野菜です。株を長期間弱らせずに育てるためにも少しずつ・長く肥料を供給する必要があります。そんな時に活躍するのが「有機肥料」や「緩効性成分を配合した肥料」です。
有機肥料
有機質は、土壌中の微生物が分解する工程を経ることで、窒素(N)成分として根から吸収できるようになります。植物が栄養として利用できるようになるまで時間がかかる一方、ゆっくり長く玉ねぎに栄養を与えることが可能なため、玉ねぎの元肥※にピッタリです。ただし、肥料の供給スピードは微生物の働きに左右されやすく、寒い冬などの時期は遅く、暖かい時期は冬よりも早くなります。
※元肥:種まきや苗の植え付け前に、あらかじめ土に混ぜ込んでおく肥料のことです。
緩効性成分を配合した肥料
緩効性成分としては、ジシアンジアミド(Dd)やウレアホルム(UF)があります。有機ほどではないものの、窒素成分の分解がゆっくりになるため、長期間効果を発揮することが可能です。
早く効く、速効性の肥料
玉ねぎに急いで肥料を与えたい時や株が弱々しい場合は、速効性の肥料がおすすめです。「化成肥料」は「有機肥料」とは異なり微生物の分解工程が少ないため、比較的早く効かせることができます。さらに短期間で効かせたい場合は「液体肥料」がおすすめです。肥料成分が水に溶け込んでいる「液体肥料」は根からすぐに吸収されます。一方で雨や水やりで土から流れやすいため、効果は長続きしません。
肥料の特性を活かした使い分け、または併用することが上手な玉ねぎ栽培のポイントになります。
亜リン酸入り肥料とは?
「亜リン酸」とは、通常のリン酸(P)よりも植物に素早く吸収されやすい性質を持っているリン酸の形態の1つです。発根促進効果を発揮しやすく、玉ねぎなどのネギ類の根張りが良くなり、土壌中の肥料成分の吸収効率を高めることができます。
一発肥料とは?
一発肥料とは、その名の通り、栽培期間中に一度だけ施肥することで長期間にわたり効果を発揮する肥料のことを指します。玉ねぎ栽培において効果的であり、手間を省くと同時に安定した成長をサポートします。
デメリットとしては、効果が全地域で一定というわけではないこと、窒素成分が高めに設定されていることが挙げられます。気候が温暖である地域では一発肥料の効果が早まることがあり、逆に寒冷地や土壌が痩せている場合には、別途補助的な施肥が必要になることもあります。また窒素成分が高いため、施肥量が多すぎると肥料焼けを起こす可能性があります。必ず規定量を守って使用しましょう。
玉ねぎの成長段階に合わせた肥料の使い方
中生、中晩生の品種の玉ねぎに肥料を与えるタイミングは①11月の苗の植え付け前、②1月上旬、③休眠が終わる2月下旬~3月中旬の3回が基本になります。
①植え付け前(元肥)
11月頃の植え付け前に、元肥として肥料を土に混ぜ込んでおきます。植え付けの1週間ほど前に済ませておくと、肥料が土壌に馴染み、苗に優しい状態になります。肥料の種類としては、長期間効果を発揮する緩効性の肥料がおすすめです。
プランター栽培などで、新品の培養土にあらかじめ肥料が入っている場合は、元肥は与えずに副資材(ミネラル材、アシスト材※)のみを与えましょう。
※ミネラル材、アシスト材は自然暮らしの商品です。
ミネラル材:マグネシウムと微量要素のみで構成された肥料
アシスト材:リン酸とカリウムで構成されたPK肥料
②1月上旬(追肥)

1月上旬に1回、追肥を施します。黒マルチをしている場合は、植えている穴の中に適量をまきましょう。
③休眠の終わり(追肥)

玉ねぎの休眠が終わる2月下旬~3月中旬(品種によって異なります)に1回与えます。玉ねぎ栽培では最後の追肥になり、「止め肥」とも呼びます。この「止め肥」が遅れると、玉の成熟も遅れてしまい、トウ立ちしたり食味が悪くなったりする原因になるため、忘れずに肥料を与えましょう。また、肥料を多く与え過ぎると球が軟化して腐敗を起こしやすくなるため、必ず規定量を守りましょう。
玉ねぎに与える
肥料の量を自動計算
プランターや畑の大きさを入力して
元肥・追肥の量を簡単計算
肥料使用時の注意点とコツ
肥料を効かせるための土壌

玉ねぎ栽培に適した土壌pHは5.5~6.5です。また、排水不良の土壌では湿害やさび病などの病気を誘発するため、排水性の良い土壌を使用することがポイントです。
土壌pHの調整に苦土石灰または土壌pHバランス材※₁、堆肥または腐植資材リフカ※₂を植え付けの2週間前に土に混ぜ込んでおくことで、土壌pHが整ったふかふかで排水性と保水性の良い土になります。さらに排水性を高めるため、プランターの場合は底石用の軽石を使用し、畑の場合は畝をつくりましょう。
※₁土壌pHバランス材※₂腐植資材リフカは『自然暮らし』の商品です。
なぜ土壌のpHが重要?
肥料成分は土壌pHが弱酸性(6.0~6.5)の範囲で溶けだしやすいという性質があります。そのため、玉ねぎを含めた多くの植物がpH6.0~6.5の弱酸性で育ちやすくなっています。(ブルーベリーなど、一部例外の植物も存在します)
肥料の適量を自動で計算
玉ねぎは適量を与えることが重要ですが、畑、プランター、鉢のサイズはご家庭によってばらばらで、正確な量が分からないという方も多いはず。
自然暮らしの「肥料シミュレーター」であれば、肥料の種類と野菜の種類をお選びいただき、栽培する面積やプランター・鉢の大きさを入力することで「元肥」「追肥」の適切な量を自動で算出いたします。
玉ねぎに与える
肥料の量を自動計算
プランターや畑の大きさを入力して
元肥・追肥の量を簡単計算
玉ねぎ栽培成功のための肥料管理のまとめ

玉ねぎの肥料管理として重要なポイントは、土壌は適切なpHに調整し排水性を良くしておくこと、肥料は適切な量を適切なタイミングで与えることの2点です。また、玉ねぎの栽培方法も確認しておくことで、美味しくて貯蔵性の高い玉ねぎを育てることができます。これらを参考に、ぜひご家庭で玉ねぎ栽培に挑戦してみてください。
有機ダブルセット

オンラインショップでの購入はこちら

自然暮らし編集部
自然暮らし編集部は、植物や肥料のプロのライターチームです。
植物・野菜・肥料の使い方について、専門家からの知識やノウハウを発信していきます。
この記事のタグ一覧