2025.02.07
初心者でも分かる!トウモロコシの肥料ガイド
トウモロコシ(スイートコーン)の栽培にとって肥料は欠かせない存在です。しかし、与えるタイミングを逃したり、成分が過剰or不足したりすると実の品質が低下する恐れがあります。正しい肥料の与え方で美味しくて大きなトウモロコシを収穫しましょう。
トウモロコシ栽培における肥料の重要性

トウモロコシは肥料を吸収しながら、日の光を浴びて大きく成長する植物です。肥料が少ない場合や追肥のタイミングが遅れてしまった場合、トウモロコシは葉の色が薄くなり、草丈が伸びにくく、実が太らなくなってしまいます。一方で、肥料が過剰になると葉や茎が伸びすぎて軟弱になったり、実のつきが悪くなったりします。トウモロコシ栽培にとって肥料の量やタイミングは重要なポイントです。
トウモロコシに適した肥料の種類
トウモロコシに与える肥料としては、元肥※₁には有機肥料や緩効性成分を配合した「緩効性の肥料」を、追肥※₂には「化成肥料」がおすすめです。追肥には、速効性の高い「液体肥料」を併用することも可能です。
肥料成分としては窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)がバランスよく含まれたものがおすすめです。さらにマグネシウムや微量要素はトウモロコシの光合成を促進するため、これらを配合した肥料も検討してみてください。
※₁元肥:種をまく前、または苗の植え付け前に土壌に混ぜ込んでおく肥料のこと。植物の初期生育をサポートする肥料。
※₂追肥:植物の生育途中で与える肥料のこと。
長期間効く、緩効性の肥料

緩効性の肥料としては、有機質が配合されているものや、化成肥料に緩効性成分(ジシアンジアミドやウレアホルムなど)を配合している肥料があります。これらは徐々に分解されて植物が吸収・利用できる形態になるため、元肥として緩やかに肥料成分を植物に供給することができます。また、有機質は土壌の質を改善することにも役立つため、土質によっては有機肥料を使用すると良いでしょう。
早く効く、速効性の肥料

追肥には比較的早く効果を発揮する「化成肥料」を使用すると良いでしょう。成長期に速効性の肥料を使用することで、成長に必要ならたくさんの栄養を不足することなく与えることができます。トウモロコシの成長を補助する目的で、液体肥料を併用することもおすすめです。
トウモロコシの成長段階に合わせた肥料の使い方
※クリックまたはタップで拡大表示
トウモロコシに肥料を与えるタイミングは3回あります。それぞれタイミングを逃さないように注意しましょう。
①植え付け前(元肥)

元肥として、緩効性の肥料を苗の植え付けの1週間前に混ぜ込んでおきます。副資材(ミネラル材、アシスト材)があれば、一緒に混ぜ込みましょう。
※プランター栽培で培養土にあらかじめ肥料が入っている場合は、元肥は与えずに副資材(ミネラル材、アシスト材)のみを与えます。
②追肥1回目


本葉が6~8枚で草丈が40~50cmになったタイミングで1回目の追肥を行います。
畑栽培の場合、マルチを剥がして追肥と同時に中耕※₁と土寄せ※₂をすることで根が伸びて生育が良くなり、株が倒れにくくなります。
栽培面積が大きく収穫までマルチを剥がさないで栽培する場合、中耕と土寄せは行わず、追肥は植穴や通路に施用してください。
この場合、追肥の効果がマルチを剥がす場合と比較して若干落ちる可能性があります。
プランター栽培で土寄せ※₂が難しい場合は、倒伏防止に支柱を立てることもおすすめです。
※₁中耕:畝の表層を浅く耕したり、畝と畝の間(通路)を耕したりすること。 栽培途中で土を耕して土の中に新鮮な空気を入れることで土壌微生物の活性が高まり、 さらに根が発達するため野菜の育ちがよくなる。
※₂土寄せ:土を株元に寄せること。株元を物理的に安定させることができる。
③追肥2回目
2回目の追肥は、1回目の追肥から2週間後を目安に株の状況を見て行います。
液体肥料で成長を補助
トウモロコシの成長が予定よりも遅いという場合は、液体肥料を与えて成長を補助すると良いでしょう。液体肥料は規定の量の水で薄めてから与えます。濃度が高い状態で与えると、肥料焼けを起こしてしまう恐れがあるので注意が必要です。
「肥料シミュレーター」で自動計算
トウモロコシ栽培には、肥料の量を自動で計算する「肥料シミュレーター」が便利です。肥料の種類を選び、野菜の種類で「果菜類」「スイートコーン」を選択して、プランターや鉢、畑の大きさを入力するとトウモロコシに最適な元肥・追肥の量を計算します。また、肥料を与えるタイミングも表示されるため、初心者の方でも適切な時期に施肥することが可能です。
元肥・追肥の施肥量計算はこちら
プランターや畑の大きさを入力して
簡単計算
肥料をさらに効かせる方法
栽培の前に、トウモロコシが肥料を効率よく利用できるような「土づくり」も重要なポイントです。プランター栽培でも、土を繰り返し再利用している場合は土質が悪くなっているため、土壌改良の実施をおすすめします。
土壌の改良
トウモロコシの栽培に適する土壌pHは6.0〜6.5です。土壌のpHを調整し、有機物でふかふかにして肥料の吸収効率を高めましょう。
《方法》
pHの調整に苦土石灰または土壌pHバランス材※₁、堆肥または腐植資材リフカ※₂を植え付けの2週間前に土に混ぜ込みます。
また、トウモロコシは過湿や乾燥になると粒が大きくならず不揃いになるため、粒ぞろいを良くしたい場合は土壌の水分にも注意しましょう。
※₁土壌pHバランス材※₂腐植資材リフカは『自然暮らし』の商品です。
土壌pHの重要性
肥料成分は土壌pHが弱酸性(6.0~6.5)の範囲で溶けだしやすいという性質があります。そのため、トウモロコシを含めた多くの植物がpH6.0~6.5の弱酸性で育ちやすくなっています。(ブルーベリーなど、一部例外の植物も存在します)
トウモロコシ栽培におすすめの肥料
有機ダブルセット肥料
良質な有機を含んだ化成肥料で、施肥しながら土づくりをすることが可能な「有機ダブルセット」。プロの農家も使用する3種類の肥料(元肥、追肥、ミネラル材)で効果的に成長をサポートして、美味しいトウモロコシに育てます。
有機と化成のWパワーで早く&じっくり効く
有機ダブルセットは、有機と化成の2つが配合された肥料です。有機質はゆっくり長く効くことが特徴ですが、分解するまで時間がかかり、本当に効かせたい時期を逃してしまう、なんてことも。有機ダブルは化学肥料の成分が早く効くので、有機質が分解されるまでしっかり生育を促進。後追いで有機質が分解されて効果を発揮します。
土壌改良しながら生育&臭いが少ない
有機を配合しているので、分解者である微生物を豊かにして土壌を改善。野菜の生育に役立つと同時に、育ちやすい土壌環境へと整えます。また、有機特有の臭いが少なく、ご近所との距離が近いお庭やベランダでも安心してご使用いただけます。
水でうすめる有機液肥
水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄とアミノ酸を配合しているので、トウモロコシの光合成をサポートしながら丈夫に育てます。

自然暮らし編集部
自然暮らし編集部は、植物や肥料のプロのライターチームです。
植物・野菜・肥料の使い方について、専門家からの知識やノウハウを発信していきます。
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