2025.05.08
アジサイ初心者のための肥料マニュアル|時期や種類
アジサイ(紫陽花)を美しく育てたい、でも肥料の選び方や与え方がわからない…そんな悩みを抱える初心者の方にぴったりのガイドです。ここでは、おすすめの肥料の成分から与える時期まで分かりやすく解説します。育て方のポイントを押さえて、色彩豊かなアジサイを咲かせましょう。
アジサイ(紫陽花)における肥料の重要性
肥料が生育に与える影響
肥料はアジサイの成長や開花をサポートする重要な役割があります。窒素(N)は葉の緑を濃くし、リン(P)は花芽の形成や根の発達を助け、カリウム(K)は花の発色や耐病性に寄与します。また、マグネシウムや微量要素も重要で、これらが不足すると葉が黄色く変化して光合成がうまく行えなくなります。光合成を活性化するには、葉や花芽の形成を促す基本的な肥料成分「窒素・リン酸・カリウム」に加えて、「マグネシウムや微量要素」も欠かせません。
アジサイの花の色は何で決まるのか?
アジサイの花の色は、主に土壌のpH値によって決まります。酸性の土壌では青色の花が咲きやすく、アルカリ性の土壌では赤色やピンク色の花が咲く傾向があります。土壌のpHが中性に近づくと、紫色の花が見られることもあります。
この現象は、土壌中のアルミニウムイオンが影響しており、酸性土壌ではアルミニウムイオンが溶け出し、それがアジサイに吸収されることで発現します。具体的にはアジサイに含まれるアントシアニンとアルミニウムが結合し、そこに助色素が加わって青色が発現します。一方、アルカリ性の土壌ではアルミニウムイオンの吸収が抑制されるため、赤色やピンク色が優勢になります。
また、花の色は栽培品種の特性にも影響されます。同じ土壌条件でも、品種によっては色の変化が異なる場合があります。さらに、気候や栽培環境、肥料の種類なども微妙な色の変化に影響を与えることがあります。例えば過剰なリン酸肥料はアルミニウムの吸収を阻害し、青の発色を弱めることがあります。
アジサイに適した肥料・資材の選び方と種類
おすすめの肥料
アジサイには緩効性肥料を使用するのが一般的で、春先の新芽が出始めた頃と、開花後の時期が与えるタイミングの目安です。成分は窒素、リン、カリウムがバランス良く含まれた肥料を選ぶと良いでしょう。開花後にはリン酸を多く含む肥料を追加することで、次年度の花付きが良くなります。
花色に合わせた資材の選択
アジサイは土壌の酸性度によって花の色が変わることで知られています。一般的には酸性の土壌では青色の花を、アルカリ性の土壌ではピンク色の花を咲かせますが、「アナベル」や「ノリウツギ」など元々の色のまま変化しない品種もあります。
アジサイの品種によっては土壌のpHが花色に影響するため、花の色を変えたい、又はより濃くしたい場合はpHを調整する資材を使用しましょう。
アジサイ栽培の流れと施肥のタイミング
アジサイに肥料を与えるタイミングとしては①元肥、②追肥、③お礼肥、④寒肥の4つがあります。初心者の方は①と②をしっかりと行い、ステップアップとして③と④に取り組んでみましょう。
アジサイが冬の休眠から明けて活動する前に、元気な状態で新芽の展開が行えるように寒肥として、12月下旬~2月中旬に1回、緩効性の固形肥料を与えます。また花が咲き終わった後から8月までに開花や剪定で体力を使ったアジサイを回復させるために礼肥を与えましょう。特に寒肥をしっかりと与えることで、その後の成長が順調になります。肥料は土の表面に散布後、十分な水を与えて土中に浸透させるようにします。
おすすめの花用肥料セット

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土壌づくりと事前準備
アジサイは保水性と排水性の優れた土を好みます。自作する際は、赤玉土の小粒と腐葉土を配合しましょう。また、腐植資材リフカ※を加えることでさらに保水性と排水性が向上するのでおすすめです。花色が土壌pHで変化するアジサイの場合は、さらにpHを調整する資材を加えましょう。
赤色(ピンク色):pH7
土壌pHを高めに、アルカリ性寄りに設定します。赤玉土:腐葉土を7:3ほどで配合し、腐植資材リフカを加えます。またアルカリ性にするため苦土石灰または土壌pHバランス材※を混ぜ込んでpH調整します。
紫色:pH6
土壌pHを中性付近にします。赤玉土:腐葉土を7:3ほどで配合し、腐植資材リフカを加えます。苦土石灰または土壌pHバランス材※を少量混ぜ込んで調整します。
青色:pH4~5
赤玉土:鹿沼土:腐葉土:ピートモス(無調整)を同量の配合比率で混ぜ込み、土壌pHを酸性寄りに設定します。
※アジサイの花の色は、土のpHを調整したからといってすぐに咲いている花の色が赤色から青など変化するわけではなく、次に成長してくる花芽に影響を与えるとされています。色の変化は時間がかかるので、ゆっくりとアジサイの成長と色の変化を待ちましょう。
※腐植資材リフカ、土壌pHバランス材は自然暮らしの商品です。
①植え付け前の肥料「元肥」(3月末頃)
上記で調整した土壌に、アジサイの初期栄養となる肥料を混ぜ込みます。長期に渡り栄養を補給できる、有機質や緩効性成分が配合された緩効性肥料がおすすめです。
②成長途中に与える肥料「追肥」(3~5月)
追肥として10日に1回、液体肥料を与えます。
※液体肥料は水に肥料成分が溶けているので固形肥料よりも速効性があります。追肥として3~5月の新芽の展開を促進させるため液体肥料を10日に1回のペースで使用するとアジサイをより美しく健康的に育てることができます。特に鉢植えの場合、ジョウロなどでうすめた液肥で追肥を行う管理が簡単なのでおすすめです。
おすすめの液体肥料

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水でうすめる有機液肥は、様々な植物にお使いいただける有機入りの液体肥料です。従来の分かりにくいキャップ計量とは異なり、ワンプッシュして水(1L~)でうすめるだけでOK。うすめて使うのでとても経済的です。さらにキレート鉄を配合しているので、光合成をサポートしながら丈夫に育てます。
③お礼肥(7~8月に1回)
花が咲き終わった後、体力が低下している株を回復させ花芽の形成を促すため、緩効性肥料を1回与えます。
④寒肥(12月下旬~2月中旬に1回)
冬の間に春の活動期を迎えるための体力補給として緩効性肥料を1回与えます。
アジサイの花色を美しくするための資材の与え方とタイミング
青色のアジサイを育てている場合、酸性土壌を維持するために硫酸アルミニウム(ミョウバンカリウム)を水で500倍~1000倍に希釈して、春と秋に月1回程度与えると効果的です。
逆に、赤色やピンク色を強調したい場合は、苦土石灰を加えて土壌をアルカリ性に近づけます。
※いずれも過剰に使用すると根を傷める原因となるので、規定量を守りましょう。
※アナベルやノリウツギなど品種によっては花色が変わらないものもあるので注意しましょう。
アジサイへの肥料の正しい与え方
施肥時の注意点と効果的なコツ
肥料の窒素(N)が多すぎると、アジサイは葉が過剰に成長し、花つきが悪くなることがあります。与える時期と量を守るように気を付けましょう。特に鉢植えの場合は肥料の影響を受けやすいので、注意が必要です。肥料が直接当たってアジサイの根を傷つけないように、株元から少し離れた場所に施すこともポイントです。
アジサイの花についてよくある質問
花が咲かない原因は?
西洋アジサイやガクアジサイなどをはじめ、アジサイの多くは旧枝咲きで、前年に伸びた枝に花芽をつけるため、剪定を行う時期が遅れると花芽を切り落としてしまう可能性があります。剪定の適切な時期は、7月頃の花が終わった直後です。
また、栄養不足も原因となります。特にリン酸が不足すると花芽が形成されにくくなりますので、バランスの良い肥料を与えることが重要です。
次に、日照条件も大切です。アジサイは日当たりを好む植物です。夏場の直射日光に当たると葉がダメージを受けてしまいますが、日が全く当たらない環境では日照が足りず花が咲かないことがあります。適度な日光と風通しの良い場所を選びましょう。
また、アジサイは水を好む植物のため、水が不足し乾燥しすぎると花芽が形成されにくくなり、花が咲かない場合があります。一方で過湿になると根腐れを引き起こしてしまうため、特に鉢植えの場合は土の乾燥状態を観察し水やりを行いましょう。
花の色がなかなか変化しない場合は?
アジサイの花の色は、土壌のpHを調整したからといって即座に現在咲いている花が赤から青に変わるわけではありません。この調整は、次に育つ花芽に影響を与えるものです。色の変化には時間がかかるため、アジサイの成長とともにその色の変化をじっくりと楽しみましょう。
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自然暮らし編集部
自然暮らし編集部は、植物や肥料のプロのライターチームです。
植物・野菜・肥料の使い方について、専門家からの知識やノウハウを発信していきます。
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